上達するパン作りの「考え方」by BAKE FIRST

知っておくだけでパン作りが上達する「考え方」のコツをご紹介します!

発酵で生地は緩みながらも締まっていく!?パン作りのパラドックスについて

こんにちは!BAKE FIRSTです(・ω・)ノシ
今回の授業は「パン作りは常にパラドックスを抱えて進むもの」について。

 

なんか急に哲学的な題材になってビックリしているかもしれませんが、実は基本中の基本を理解していればこの感覚はわかるはずのものです☝️

 

例えば発酵という工程について、皆さん一般的には「生地が膨らみ弾力が緩むもの」と捉えているかと思います。
しかし、厳密には緩む方向に進みながらも締まる方向にも同時に進んでいるのです😱
言い換えれば、発酵で生地が膨らむという行為自体が「見えないミキシング」であるということ。

 

風船が膨らむのって、内側に無理矢理吹き込んだ空気の圧力でゴムが押されることによって成り立ってますよね?
風船のゴムは内側から力を受けているのです🎈

 

これ、パン生地も全く同じことが言えるんです。
パン生地の場合はグルテン骨格とでんぷん等によって無数の気泡が形成されています。これは一つ一つが風船です。
これらの小さな風船は、酵母菌が二酸化炭素を吐くことで内側から圧力を受けることになります。
一個の風船を膨らませるのと違う点は、パン生地の場合は無数の風船が常におしくらまんじゅう状態だということ。
一つのパン生地という単位で見ればただ外側に膨らんでいるだけのように見えますが、気泡単位のミクロな視点で見れば常に強い圧力が生地内でせめぎあっているわけです。

 

こうしたメカニズムがあるから「見えないミキシング」と言えるのです🙈

実はそれだけじゃなくて、内側からの膨らみ以前の問題でも生地は強くなっていきます。
それは生地の骨格であるグルテンの「酸化」です☝️
グルテンは酸素と結合することで初めて強くしなやかに発達することができます。
酸素のない部屋の中でミキシングを行うと、生地がほとんど強くならないという研究もあるそうです😱
ミキシングは生地に酸素を効率良く取り込むことのできる一つの手段ですが、生地を作る作業室内に酸素が有れば、ほとんどこねないような生地でも酸素はある程度混入できます。粉に元々付着していた酸素も入ります。
粉と水を混ぜ合わせて粗いグルテンが形成されると、時間経過とともに酸素がグルテンの結合に作用してより丈夫でよく伸びるしなやかなグルテンへと発達します。

 

このように、発酵中の生地では「内部圧の増加」と「グルテンの酸化」という二つの現状によって、あたかも弱〜いミキシングのような効果がもたらされているのです。

生地が緩む現状となる原因と、生地が締まる現状となる原因。
この両者のせめぎ合いのバランスが異なると、その生地にとっての発酵工程の意味合いもなんだか変わってきますね🤔
もちろん、後者が前者を上回るなんてことはありませんが…後者が弱すぎるかそこまで弱く無いか、くらいの違いは材料やレシピによって差が出てきます。

 

あまりにも奥が深過ぎて、複雑すぎて、目の前の生地を完全理解してあげることは到底難しい話なのですが…
だからこそパン作りは面白い❕
僕はそう思います。

まぁ、100%の完全理解が不可能なのは人間同士でも同じですからね😔笑

 

今回の授業はここまで!