イースト量と発酵時間はどう決める?パン作り初心者でもわかる目安とレシピ作成方法

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こんにちは!製パン科学研究家の"BAKE FIRST"です(・ω・)ノシ

パン作りに慣れてくると、既存のレシピに頼らず自分だけのオリジナルのレシピを作ってみたくなりますよね!

そんな時に必ずぶつかる壁が

「イースト量と発酵時間はどうやって決めればいいの?」

という疑問です。

今回はイーストの量と発酵時間の関係性についてご紹介します。

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生イーストのBP(%)あたりの一次発酵時間


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  BP(%)
強力粉 100
上白糖 5
食塩 2
スキムミルク 2
生イースト 3
70
無塩バター 5
合計 187

まず上記レシピのような「基本の食パン」における、生イーストと発酵時間の関係性の目安を紹介します。

 

生イーストBP 2.5% 3% 3.5%
時間 120分 90分 60分

(捏ね上げ温度27℃、発酵環境27℃/湿度75%を基準とする)

 

 このように、生イースト0.5%増加ごとに一次発酵の目安時間は30分ずつ短くなります。

生イースト 量 発酵時間

もちろんレシピによってはこの限りではなく、同じ配合量でも発酵時間がより少ないものもありますが、それぞれレシピ作成者の意図があってのことなのでそれも間違いではありません。

ですが、まずは基本中の基本としてこの相関を自分の中の基準としてインプットしましょう。レシピを自分で作る際はこれを基準に考えて、

「乳製品を多くして、発酵が阻害されるから一次発酵は10分長くしよう」

「いや、時間は長くしたくないからイースト量を少し増やそう!」

などと思考してレシピを構築していきます。

 

※厳密には2.5%での一次発酵120分は90P30といった具合にパンチを入れることが多いですが、わかりやすくするために合計時間で記載しました。

 

インスタントドライイーストと発酵時間の関係性は?

ドライイースト 量 発酵時間

ここではまず、生イースト量と同等の効果が得られるインスタントドライイースト量に換算しなければなりません。

 

先ほどの生イーストの表をインスタントドライイーストに代用して換算するとこのようになります。

IDY% 0.87% 1.05% 1.22%
時間 120分 90分 60分

 これを見ると、イースト量が0.17~0.18%ふえるごとに発酵時間が30分短くなっていることがわかりますね。

これも実際には0.8%、1%、1.2%として計算するレシピが多いですね。僕も面倒なのでこちらの覚えやすい数字を使うことが多いです(笑)

 

砂糖が多い場合の発酵時間への影響

菓子パン イースト 量

糖分は食パンのレシピのように適量であれば酵母の発酵を促しますが、菓子パン生地のように砂糖が高配合だと多くなるほど発酵は阻害されます。そのため、同じ発酵時間でも菓子パン生地にはより多くイーストを配合する必要が出てきます。

 

目安として、菓子パン生地を例に説明します。

  BP(%)
強力粉 90
薄力粉 10
上白糖 25
食塩 0.8
スキムミルク 3
生イースト 4
全卵 10
50
合計 193

(捏ね上げ温度27℃、発酵環境27℃75%)

この場合、一次発酵の目安時間は90分となります。

生イーストBP   3.5% 4%
時間   120分 90分

菓子パンのイーストはいたずらに少なくすることは避けたほうが良いです。

じっくり時間をかけて発酵させた方がおいしくなるからとイーストを減らすと二次発酵で時間がかかりすぎてしまったり、それによって生地のちょうどよいコシが残っている段階で焼くことができず、ボリュームが出にくくなります。

そもそも、リーンなパンと違って菓子パンは発酵風味によるおいしさの変化はあまり期待できないので、素材と中の具材で勝負すべきところです。

※こちらもあくまで目安であり、4%でも60分として作るレシピも多いです。使うイーストの種類によっても大きく変わる所です。

 

ちなみに砂糖の代わりにハチミツを使ってパンを作る方もいるかと思います。

菓子パン生地のように砂糖が25%と非常に高配合なレシピでハチミツに置き換えるとどうなるでしょうか?

仮に糖分率と水分率をしっかり計算して成分割合を揃えたとしても、発酵に関わる重大な注意点が残ります。重大なのに、他のどのパンの教科書やサイトでもほとんど解説されていません。

それについてはこちらの記事を参照ください。

paopao-bakefirst.com

レシピを作る時の考え方

自分でレシピを作る際は、基本の食パンにおけるイースト量・発酵時間の目安と、使いたい砂糖の量でどれくらい発酵が遅くなるかを並行して考える必要があります。これがなんとなくでもわかるようになると、パン作りのレシピから工程までより深く理解できるようになります。

 

参考までに、僕がイースト適正量を考える時は、

  1. 使う砂糖の量はどのくらいか?
  2. どれくらい発酵させたいか?(発酵風味を重視したいのか素材重視なのか)
  3. 食パンのイースト・発酵時間の関係と、菓子パンのイースト・発酵時間の関係を参考に、その砂糖の量ならどれくらいのイースト量になるか予想する(砂糖の量がちょうど中間量なら、イーストも中間量でやってみる)

このような段取りで考えています。

 

もちろん難しいことは考えずとりあえず作ってみて、十分な発酵が得られるまで何分かかったのかをチェックするというやり方でも構いません。

とにかく手を動かす!それも大事ですね♪

イースト量が多いレシピはパンがパサつく?

「イーストを多くするとパンはパサつく」

なんて聞いたことがある方も多いかと思います。

しかしこの言い方はハッキリ言って間違いです。ちょっとした誤解からこのような表現になってしまっているわけですが、イーストそのものがパンのパサつきに影響を及ぼすことはありません

この表現を鵜呑みにして

「イーストは少なければ少ないほど良いんでしょ?もっと少なく…!」

なんて少イースト主義だった時期が僕にもありますが、それでは上達から遠ざかってしまいます。

科学的な観点からこの誤解をこちらの記事で解説しています。イースト量を考える前にまずはご覧ください。

paopao-bakefirst.com

 

2023/05/05

by BAKE FIRST(製パン科学研究家)