クリームパンが破裂する原因と対処法を解説!成型のコツがわかるオススメレシピも紹介

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こんにちは!製パン科学研究家の"BAKE FIRST"です(・ω・)ノシ

手作りでクリームパンを作った時に、パンが破裂してクリームが漏れたり、とじ目が開いてクリームがはみ出るなど…そんな経験ありませんか?

今回はクリームパン破裂の原因とその対処法についてご紹介します。

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クリームパンが破裂する原因

クリームの水分量が多い

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ご家庭でクリームも自家製で作っていると、クリームの炊き込み不足で水分が十分に抜けきっていない場合があります。

それでもクリームは冷やすとある程度固まるため、上手な人だと包めてしまいます。それが仇となります…

焼成中に中身のクリームの水分が蒸発すると、液体が気体になることで体積が大きく膨らむので内部気圧がとても高くなります。それが過剰だといくら良い生地であっても耐えられず、とじ目や生地の薄い部分など弱い部分を突き破るようにしてパンが破裂します。

 

発酵不足

特に二次発酵不足の場合、クリームの水分量が適正であっても破裂する可能性が非常に高くなります。

クリームパンの成型は、生地を平らに伸ばすことで生地に結構な圧力を加えます。それによりグルテンが鍛えられ生地の弾力が増します。

弾力が強いということは、元に戻ろうとする力が強いということです。

ゴムでっぽうで遊ぶ時、古くて柔らかい輪ゴムよりも新品で強い輪ゴムの方が弾力が強いためより遠くに飛びますよね?あれと同じです。

成型でついた弾力を二次発酵で十分に落ち着かせないと、焼成時にクリームから発生する大量の水蒸気に合わせて柔軟に伸びることができず、中の気圧はどんどん高まりとじ目や生地の薄い部分など弱い部分を突き破り、そこからクリームがはみ出ます。

 

 パン作りでは生地の硬化と緩和の概念を十分に理解することが重要です。こちらもあわせて読んでおくことをおすすめします。

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 

生地が硬い

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そもそも使っている生地が硬くてクリームパン向きじゃない場合も、クリームがはみ出る原因となります。

初心者でよくある失敗ですが、特に菓子パン生地は捏ね始めがベタベタしており、皆さん不安になって粉を追加してしまいます。

計量ミスさえなければ諦めず捏ね進めることで良い生地になるのに、粉を追加してしまうことで硬い生地になってしまいます。

これだと、どんなに十分に発酵をさせたとしても生地が硬いことに変わりないので、焼成時の急激な水分蒸発による膨張に耐え切れず、とじ目の隙間を突き破ってクリームがはみ出てしまいます。

あるいは、二次発酵(最終発酵)で生地の弾力で開いてしまい、焼く前からクリームがはみ出るなんてことも…

 

じゃあ生地が柔らかくなるまでとことん発酵させればいいかというと、それだと生地自体は過発酵となり味・風味・焼き色ともに劣ってしまいます。

なのでミキシングで粉を追加せず、レシピ通りの配合を極力守るよう心掛けることが重要です。

「そうはいっても、ベタベタじゃ捏ねられないじゃん!」

と思う方は、そもそも捏ね方が間違っている可能性が高いです。

正しい捏ね方と良い道具を使っていれば、ベタベタ生地もプリプリ生地に捏ね上げることができます。

こちらの記事で手ごねの極意を解説しているので、まずは生地作りの基本から見直してみてください。

paopao-bakefirst.com

 

生地の伸びが悪い

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生地の配合は守っていても、こね不足で生地の伸びが悪かったり、クリームパン向きじゃない生地を使っている場合も破裂の原因となります。

こね不足だと薄く伸びる性質に劣るためちぎれやすくなります

こね具合をチェックするときに生地を薄く伸ばす「グルテンチェック」で、こねが足りない時は膜が薄くできなかったり、薄くてもすぐ破れたりしますよね。

焼成時にクリームの水分が蒸発して内部が膨張するのは、内側から生地を押し広げているようなものなので、伸びの悪い生地を使うとグルテンチェック同様に破れやすくクリームが漏れてしまいます。

「破れやすい膜=破れやすい生地」と捉えましょう。

とじ目から漏れるのではなく、生地の表面に穴が開いてクリームがむにゅっとあふれる「爆発した」ような失敗は、生地の伸びが悪いことが原因の大半を占めると言えるでしょう。

また、フランスパン生地などリーンな生地は菓子パン生地などリッチな生地と比べるとどうしても生地伸びは劣ります

劣るからこそ、バゲットなどはクープを入れて人為的に内部圧力の逃げ道を用意してそこから自由に膨らめるようにしてあげてるわけですが…

このような生地でクリームをそのまま包んで何の工夫もせず焼くようなことをすれば、当然破裂する危険性は高いです。

クリームパン破裂対策方法

しっかりとクリームに火を通す

クリームの水分が多すぎるということは、炊き込み不足ということです。

炊き込み不足だと、水分が多くてゆるいわりには材料に含まれている小麦粉(またはコーンスターチ)のでんぷんにしっかりと火が通っていない可能性があります。

でんぷんに火が通っていないと、口当たりもどこか粉っぽさを感じてしまいます。

 

なので、まずはしっかりとクリームを炊けるようになりましょう。

ポイントは、ホイッパーや耐熱ゴムベラで絶えずかき混ぜながら中火で加熱し続け、ホイッパーを回す手を止めるとすぐに表面がグツグツと沸く状態までです。

途中まではすくいあげてもぽってりとしていますが、完成するとコシが切れてトロトロと垂れ落ちるようになります。

ここまでくると、クリームに含まれるでんぷんにしっかり火が通ることで粉っぽさのない口当たり滑らかなクリームになります。

 

二次発酵の見極めをマスターする

どんなに伸びの良い生地を作っても、発酵が不足していては生地は伸びてくれませんので、特に二次発酵は十分にとるように心がけましょう。

発酵の見極めについてはこちらで紹介しています。見た目の感覚だけでなく、生地を触って見極められるようになると失敗が本当に少なくなります。

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 

ベンチタイムを十分にとる

クリームパン クリームがはみ出る

ベンチタイムは時間通りじゃダメ!?生地を緩ませることが大事!

 

成型する前にしっかり生地をゆるませておくことも重要です。

弾力のある生地玉を無理に成型することは、生地にかなりの力を加えることになります

このようなやり方で成型した生地は、かなり過剰に弾力が強いものとなってしまい、下手すると二次発酵でとじ目が開きます。それだけ形状記憶作用が強く働くということです。

すごーくわかりやすい例えをすると…

折り紙

紙って半分に折れる回数に限りがありますよね?最初はきれいに折り目をつけられても、何回も折っていくとそのうち反発して折れなくなりますよね?パン生地もそれと同じことが起こるのです。

しっかりベンチタイムを取らないことは、めちゃくちゃ折って限界に達している紙をもう一回折ろうとすることと同じ。

でも、パン生地は休ませれば必ず弾力が落ち着いて折れるようになるので安心してください。

特に冬場は時間通りベンチタイムをとってもぜんぜん生地は緩んでいないことが多いので、時間よりもしっかりユルませることを優先してください。

ちなみに、めん棒で生地を伸ばすときも、一回で無理に伸ばそうとする必要はありません。やってみてすごく縮んでしまうようなら、5分ほど休ませてまた伸ばしてみましょう

いわゆる「二度伸し」というやつですが、実際にパン屋さんでも使われている手法でもあります。

クリームパン向きの生地を使う

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やはり一番失敗がないのは、菓子パン生地を使ってつくることです。

砂糖を減らしたり、バターを減らしたりしたくなるところですが、そういったアレンジを一部加えると必ず他の部分でも調整を加えないとほころびが出てきます。

ここに一般的な菓子パン生地のレシピをお見せします。

材料 BP(%)
強力粉 100
上白糖 25
食塩 0.8
スキムミルク 3
インスタントドライイースト 1.4
全卵 10
50
無塩バター 6
ショートニング 6

 砂糖が20%前後と多く、油脂も10%以上はあると生地伸びの助けになります。

卵を配合すると窯伸びしやすくなり、ふっくらします。

こういう生地は、こねはじめはとてもべたつきますが、諦めないでください!(笑)

ここで粉を追加せず、しばらく辛抱することで驚くほどべたつかない扱いやすい生地が完成します。

手ごねでは難易度が高い生地なので、加糖中種法を採用して少しでも捏ねやすいレシピを使うのも手です。

こちらあんぱんの動画ですが、手ごねで良質な菓子パン生地を作るなら一番作りやすいと思います。


www.youtube.com

生地に切れ込みをいれる

上記のような菓子パン生地を十分にこね、ベンチタイムも発酵も十分にとれていれば、実はグローブのような切り込みを入れなくてもクリームパンを焼くことは可能です。

実際、あんぱんのように丸く包んでそのまま焼いて作るお店だってあるくらいです。

ですが、切り込みを入れることが破裂確率をダメ押しで下げてくれることもまた事実。見た目もかわいらしいですし、やっぱり入れるに越したことはありませんね。

 

また、どうしてもリーンな生地を使いたいんだ!という場合は、焼成前にハサミで十字切り込みを入れて蒸気逃がし口をつくるのも一つの手段です。

揚げないカレーパンを作っているお店だと、そのお店のリーンな生地で包んで大胆に十字切り込みをいれて中身が見える状態で焼き上げるところも多いですよね。あれも同じ理由から切込みを入れているのです。

 

クリーム後注入にする

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例えばシュークリームのような軽い口当たりのクリームや、クレームディプロマット(カスタードとホイップをブレンドしたもの)を入れたいんだ!というのであれば、何も入っていない丸パンを焼成して、あとからクリームを注入しましょう。

どうしても、包んでから焼くという手法にこだわりすぎるとクリームの選択肢の幅が狭まってしまいますので、こういった発想も柔軟に取り入れていきたいですね。

焼いたパンをすこし冷ましたら、ハサミで中心部まで突き刺して、中身を開拓するようにぐりぐりします。そうやってクリームの部屋を作ってから、絞り袋をつかってクリームを充てんしてください。

 

クリームパンの成型のコツがわかる動画


www.youtube.com

生地よりも多く包んでもクリームがはみ出ないポイントが詰まった動画です。

パン職人さんは「あんべら」を使ってクリームを包むのが一般的ですが、クリームたっぷりにするお店ではこのように絞り袋を使って充てんする場合もあります。

クリームパンの成型が苦手な方はぜひ参考にしてみてください

まとめ

僕もクリームパンの破裂には幾度となく悩まされた時期がありました。

ですが、パン作りの基礎をしっかりと理解して実践できていれば必ず防げる失敗ですので、諦めずにかわいくておいしいクリームパンを作れるようになりましょう!

以上、クリームパン破裂の原因とその対処法のご紹介でした!

 

2023/05/30

by BAKE FIRST(製パン科学研究家)