焼きたてパン屋さんのお店の前を通ると、パンのとっても香ばしい香りがしてきて、思わず食欲をそそられお店に入ってしまいますよね♪
ご自宅でパンを焼かれる方も、焼成中にオーブンから溢れ出てくるパンの香りにうっとりしませんか?
他の焼き菓子では感じられない独特なパンの香り、今回はその大きな要因についてまとめました。
メイラード反応
パンを焼成し始めて、表面の温度が160℃以上になってくるとメイラード反応が急速に進行します。
メイラード反応とはどういったものかというと、
「糖分+アミノ酸➡➡➡➡メラノイジン(褐色物質)」
このように、糖分とアミノ酸が反応して、メラノイジンという褐色物質を生成することで、食欲をそそる焼き色と香ばしいフレーバーが生まれるものです。
このときに使われるアミノ酸はおもに小麦粉中に含まれる「フェニルアラニン」というアミノ酸。
お肉を焼くときなんかは、グルタミン酸というアミノ酸が主に反応します。
ちなみに色の濃いお味噌なんかもメイラード反応によるものです。加熱は絶対条件ではなくあくまで急速に進むためのもので、放っておいてもゆっくりと反応は進むのです。
さらに、加熱以外にも反応の進み具合にはいくつかの要因があり、生地のpHが5〜5.5だと一番メイラード反応が進みやすいそうです。
なので、過発酵の生地を焼いたときに焼き色が鈍いのは、糖分残量が減ってしまったことだけでなく、pHが下がりすぎていることも要因です。
考えても見れば、糖分が減ったから焼き色つかないなんてことを言ったら、始めから砂糖を入れていないフランスパンはどうなるんだ!って話ですもんね。
となると、アルカリイオン水で作るパンは、焼き色をなるべくつけない白焼きパンに向いているのかもしれませんね。
白焼きパンは当然メイラード反応がほとんど進行していないため、香りの主な要因は発酵で生成されたアルコールや有機酸などによるものです。
カラメル化
パンの焼成では200℃以上の高温を使うことが多いですが、生地表面の温度が185℃を超えてくるとカラメル化が起こります。
どのような反応かというと、加熱により糖が水分を失う過程において、分解・結合など様々な反応が生じて、褐色物質が生成されたり苦味物質が生成されることです。
それにより、こちらも美味しそうな焼き色や香ばしさが生まれます。
そして、パンの場合はメイラード反応とカラメル化が同時に起こることで、より複雑なフレーバーを醸します。
他にもコーヒーやビールなども両方の反応が起こっているようです。
発酵熟成フレーバー
発酵によるフレーバーもパン独特の香ばしさには欠かせません。
もちろん、無発酵の粉ものが美味しくないわけではありません、それにはそれの素材フレッシュな風味という代え難い良さがあります。
しかし、「発酵いらずの時短パン♪」といったレシピを試してみてイメージと違くてガッカリしたことがある方も多いのではないでしょうか?
上記二つの反応に加え、パンには他の無発酵の粉ものには無い成分が豊富に含まれています。
イーストで作るパンの場合はアルコールが多くを占めていますが、自家製酵母パンなどゆっくりじっくり発酵熟成させるパンに近付く程に、有機酸やエステル、アルデヒド、ケトン類といった様々な物質のバランスも増えてきます。
それにより、非常に奥行きのある複雑で香ばしいフレーバーとなります。
さらに、じっくり熟成させた発酵種を配合したパンや自家製酵母パンなどは、アミノ酸含有率が通常のパンよりも高いとのこと。
先ほどメイラード反応でアミノ酸が必要と解説しましたが、ここにもつながってくるということでしょう。
まとめ
過去にこちらの生地で紹介したように、パンにおいて香りは美味しさに大きく直結する要素です。
香ばしいパンの香りを生み出す要因を理解しておくと、何かあったときにふと思い出して、原因を解決できたりより美味しいパンを作るアイディアが生まれるかもしれません。
以上、焼きたてパンの香ばしい香りを生み出す大きな要因についてでした!
byなおちゃん
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