作るパンの種類や生地の状態などによって、丸めでどれくらい生地に締まりを与えるのか、どんな形に整えるのかが違ってきます。
ここではパン生地の丸めを自在に操るための考え方を伝授いたします!
丸めの目的を知ることで丸め加減がわかる
パン生地を分割してすぐ成型せずに一旦丸めて休ませる目的は…
- 同じ形に成型しやすいように整えておくこと
- 分割で不均一になった生地を丸め作業によって同じ状態にすること
分割した後の生地はそれぞれ形も厚さも不均一になっています。
なのでそこから同じ形を作るのは大変ですし、分割の仕方によってはきれいな形にすることが困難な場合もあります。
そういった状況を一旦丸めでリセットすることで成型がしやすくなります。
また、分割作業は思っている以上に生地に力を加える作業です。元の生地の端の方なのか内側の方なのか、切った場所によっても生地の状態は微妙に違います。
そういった意味での分割後の不均一さも丸めで一旦リセットします。
丸めのやり方は文章と画像ではお伝えしきれないので、こちらの動画をご覧ください。
「これさえ伝えれば未経験者でも一発で習得できた」が詰まってます!
どんな形に成型するかによって丸め加減を変える
丸パン成型やあんぱん成型のような、形が丸い感じの成型をするつもりなら特に意識することはなく普通の丸め加減で問題ありません。
しかし、バターロールやチョココロネのように複雑な形に成型するつもりなら丸め加減を少し弱めにするべきです。
麺棒をつかったり細長く伸ばすような成型は、生地にかなりの力が加わります。そのため成型前の段階でどれだけ生地の弾力を落ち着かせられるかが重要となります。なので基本どんなレシピでも、一旦しずく形に仮成型して5分休ませて本成型に移るように指示されています。
ですが丸めで生地をキツく締めてしまうと、弾力が出すぎて生地を休ませる時間がより長く必要になってしまいます。
しかし酵母菌の働きはノンストップなので、より長く休ませた分だけ糖分が多く消費されて味が薄まってしまいます。
生地の柔らかさ次第で丸め加減を変える
作るパンによって生地の柔らかさが違いますね。また、一晩冷蔵させた生地も通常よりコシが締まって硬くなっています。
どんなものであれ硬い生地を通常の生地と同じように丸めてしまうと、生地が緩むまでに時間がかかるのでベンチタイムが長時間必要になります。
それどころか生地を締めすぎて表面が破れてしまう場合も…
”丸め作業”という呼び方だから生地を真ん丸にしないといけないと思われがちですが、表面にハリが出せれば真ん丸である必要はありません。多少いびつな形でも、最終的に成型で綺麗な形に作ればいいんです。
"丸め作業=生地を丸くすること"ではない
丸めの目的が「成型しやすくする」である以上、丸くしたら成型しづらくなってしまっては本末転倒です。
バゲットなど細長く成型する物であれば、最初から丸ではなく長方形をイメージしたナマコ形に整えたり、コッペパンなら楕円形にしたりする方が次の成型はよりやりやすくなります。
また、同じ長方形に整えると言っても、とても長く成型したいならその分長めに整えないと希望の長さに成型することが難しい場合もあります。
これは生地に余計な力を加えたくないハード系のパンや細長く成型したいパンでよく使われるやり方ですが、これも分割後に行う"丸め作業"の一種です。
丸くしない丸め作業がある、これを理解することでより一層パン作りが上達します。