パン作りできび砂糖は使える?代用による違いなどを解説!

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こんにちは!製パン科学研究家の"BAKE FIRST"です(・ω・)ノシ

お家で普段使っているお砂糖はきび砂糖、そんなご家庭も多いかと思います。

ですが、パンのレシピで使われている砂糖の多くは上白糖です。

わざわざパンを作るためだけに上白糖を用意するのもなんとなくハードルがありますよね。

今回は、きび砂糖でパンを作っても膨らむのかどうか、白砂糖をきび砂糖で代用する場合の違いや注意点などはあるのか解説します。

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パン作り きび砂糖

パン作りできび砂糖は使える?その効果は?

パン作りできび砂糖は使える?膨らまない?

結論から言いますと、きび砂糖はパン作りで問題なく使えます☆

膨らまない、なんてことは一切ありません!

それもはちみつやメープルシロップで代用する時とは違って、使い勝手もおおむね遜色なく普通の砂糖と同じように使うことができますので安心してください。


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では、わざわざ普通の砂糖ときび砂糖で使い分ける必要はあるのでしょうか?

ここからは、きび砂糖と他の白砂糖との違いについて解説します。

きび砂糖は他の砂糖と何が違う?

上白糖・グラニュー糖・きび砂糖の成分的な特徴

グラニュー糖の特徴

パン作り グラニュー糖

海外では最もポピュラーなお砂糖です

まず最もわかりやすいグラニュー糖の特徴について。

基本的にお砂糖というのは主成分が「ショ糖」で出来ているものを指します。

ショ糖というのはブドウ糖と果糖がくっついた形状のものです。

ですが、砂糖によってショ糖純度が変わってきます。

中でもグラニュー糖はお砂糖の中でもショ糖純度が極めて100%に近い99.95%です。

上白糖の特徴

パン作り 上白糖

日本のパン業界で最もポピュラーなお砂糖です

次に上白糖の特徴について。

こちらはショ糖純度が97.8%で、「転化糖」が1.3%含まれています。

転化糖というのはショ糖の元であるブドウ糖と果糖のことです。これらがくっついていないで単体で存在しているということ。

転化糖はショ糖よりも吸湿性が高いです。上白糖が勝手に固まってしまうのもこの性質のせいですね。

きび砂糖の特徴

パン作り きび砂糖

きび砂糖にも色々な種類があります

最後にきび砂糖の特徴について。

こちらも主成分はショ糖で、最もよく見られる「カップ印」のきび砂糖で98.8%となっていますが、他にも「素焚糖」や「ブラウンシュガー」など似たような種類はいくつかあり、それぞれ微妙に成分割合は違ってきます。

こちらは白砂糖とは違って完全には精製せず、精製途中の糖液を煮詰めて作られるため微量のミネラルが残っています。

転化糖は含まれていないので上白糖よりもサラサラで、独特な香ばしさがあるのが特徴ですね。

使い分けるとどんな違いが出る?

生地の質感は変わる?

ごく一般的なパン作りにおいては、同量で作り比べても生地感の違いは感じられません。

砂糖15%というそれなりの配合でも、どれがベタつきが強いかといった変化は無かったので、おおよそどのような配合でも生地感に大きな変化は出ないでしょう。

※ただし、きび砂糖に含まれるミネラルがある条件においては間接的に左右する可能性は理論上あります。それについてはもう少し↓の項目で解説します。

きび砂糖だと膨らまない?

まれに「きび砂糖 膨らまない」とお困り検索をする方もいらっしゃるようですが、きび砂糖でも他の砂糖と同じようにちゃんと発酵は進みます

糖分率もグラニュー糖や上白糖に比べたら低いとはいえ、その差は1%にも満たないので、発酵には何の影響もありません。

むしろ、理論上は各種ミネラルがプラスの方向に作用すると考えられます。これについてはもう少し↓の項目で扱います。

砂糖の違いでパンの味や香りは変わる?

上白糖・グラニュー糖・きび砂糖すべてを同量で作り比べても、正直それほど大きな違いは感じられません

どれか一つを何も言われず食べさせられて、「どの砂糖でしょうか」と言われたら恐らく答えられません。

ですが、違いを吟味するように味わうと、グラニュー糖よりも上白糖の方が甘味を感じる初速が早いような気がすること、きび砂糖の甘味は白砂糖の甘味とは違って「自然な感じ」という印象でほんの少し甘さ控えめにも感じること、こういった微妙な違いはあるように思えます。

ですが、非常に微々たる違いであり、誤差程度とも言えてしまうかもしれません。

香りに関してもほとんど差は感じられませんが、砂糖25%使用の菓子パン生地のように高配合であれば、焼きたて直後に限ってきび砂糖の独特な深みのある香りの恩恵が感じられます。冷めてしまうと違いはほとんどわからなくなります。

上白糖の代わりにきび砂糖でパンを作る!置き換え方

パン作り きび砂糖 代用

上白糖をきび砂糖で代用できる?使用量は?

基本的に上白糖と同じ量でそのままきび砂糖に置き換えて使っても、生地感や発酵などに大きな影響を及ぼさないので、特に計算し直す必要もなくそのまま置き換えて使っていただいて構いません

ただし完全に個人的な感覚なのですが、特に業務用縦型ミキサーで大量に生地を作るといった場合に、固まったきび砂糖系の砂糖を使うと溶け残り(というか混ざり残り)が出やすい印象があります。

水への溶けやすさも上白糖よりほんの少し溶けにくい印象があります。

なので、特に捏ねないパンなどミキシング時間の少ないパンを作る場合や、湿気で固まってしまっている場合などは溶け残りが出ないよう注意することをオススメします。

きび砂糖のミネラルはパン生地にどのような影響を与えるのか?

ここまで白砂糖をきび砂糖にそのまま置き換えて問題ない、という解説をしてきましたが、ある条件においてはきび砂糖に含まれるミネラルが生地に影響を及ぼす可能性が理論上存在します。

これはきび砂糖に限らず、水の硬度や粉の灰分によるミネラル分の違いでも同様のことが言えるのですが、ミネラルには「補酵素」という働きがあります。

その名の通り「酵素の働きをサポートする」作用です。

パン作りにおける酵素の働きというのは、

  • 酵母菌が糖分の分解に用いる酵素作用
  • 粉に元々含まれる酵素が生地のでんぷんやたんぱく質を分解する作用
  • モルトや麹などに含まれる酵素が生地のでんぷんやたんぱく質を分解する作用

といった、「発酵と熟成」に直結するものです。

ごく一般的な、普通の強力粉を使って砂糖など副材料を添加してそれなりのイースト量で作るようなパンであれば、そもそも粉に残存酵素が少ない上に砂糖やイーストが多いので補酵素としての作用が目立たないのですが、フランスパンなどのハード系や自家製酵母作りにおいては補酵素の影響が目立ってきます

パン作り きび砂糖 使い分け

きび砂糖の以外な有効利用とは?

実際に粉で自家製酵母を起こす場合、ミネラルの有無が発酵と熟成に大きく影響します。酵母菌が圧倒的に少なく、砂糖も加えない、このような状況では菌を増やすためにはまず熟成で糖分を作る必要があり、そのためには酵素活性が高いほうが有利であるからです。

「どっちも砂糖使わないじゃん」って思いました?

例えばフルーツを使う自家製酵母作りで、発酵促進のために砂糖を入れたりしますよね?その際にきび砂糖を使うことで、補酵素としての働きが期待できます。

なぜパンにきび砂糖を使うのか?

ここまでの解説から「きび砂糖をわざわざ使う必要もないかな」と感じてしまった方もいるかもしれません。

ですが、実際にパン屋さんでも白砂糖ときび砂糖は使い分けられているパターンは見られます。

なぜ、わざわざ使い分けるのでしょうか?

一番効果がわかりやすいのはトッピングとしての利用です。

トッピングであれば素材の味がダイレクトに伝わりますので、本来グラニュー糖などをトッピングするような場面できび砂糖を使えば簡単に個性を生み出すことが可能です。

パン作りにおいては前半の工程よりも後半の工程で使う材料ほど、その素材の個性が際立つので品質に気を使うべきだとよく言われます。これは砂糖に限らず全ての材料において同じことが言えますね。

もう一つは「謳い文句」としての理由です。

パン屋さんでパンを開発する時、どんな味わいにしたいか云々だけでなく時に「顧客への訴求効果を高めるにはどうすればいいか」という視点でレシピを考えることもあります。

わかりやすい例でいうと、何の変哲もない「食パン」という名で売られているものと、「十勝産小麦使用の食パン」という名で売られているものなら、後者の方が目につきますよね?(値段の差はさておき)

まったく同じ材料のバゲットでも、「バゲット」として売られているものより「2種の小麦粉を自家ブレンド!低温長時間発酵バゲット」と謳われているものの方がなんとなく興味そそられますよね?同じ値段でこれらが並んでいたら間違いなく後者の方が人気出そうです。

砂糖の選択も同様に、何の変哲もないパンに訴求効果を持たせたいなと思った時に、「きび砂糖使用」という一言が加えられれば「健康に気を使って普段からきび砂糖を料理でも使っている」ような客層に対して強くアプローチできます。

もちろん、味や香りの微妙な変化を表現したいから使い分けているお店もたくさんあるでしょうし、一概に理由が何かと断定はできませんが、こういったカラクリも実はあるよということでご紹介しました。

 

パン作りにおける砂糖の役割

パン作りでは砂糖の役割は甘味の向上だけではありません。

「酵母菌のエサとしての役割でしょ?」

いえいえ、それだけでもありません。

意外にも多くの役割を砂糖は背負っています。

詳しくはこちらのページにて解説しています。

レシピを微アレンジしてオリジナリティを出したパン作りをしたい方、オリジナルレシピを作れるようになりたい方は必見です!

paopao-bakefirst.com

 

2023/04/22

by BAKE FIRST(製パン科学研究家)