実際、ドライイーストって予備発酵必要?比較検証して違いを解説!

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スーパーで手に入れることができる「日清 スーパーカメリヤ」などのドライイーストは、正確には「インスタントドライイースト」という部類のイーストです。

これらは予備発酵無しでそのまま粉に混ぜて使えるのが大きな特徴です。

しかし、中にはこのインスタントドライイーストでも予備発酵させた方が良いと言っている人もいます。

実際のところどっちが良いのでしょうか?

今回は、インスタントドライイーストを予備発酵させた場合とさせなかった場合で発酵力に違いがあるのか、そして予備発酵が本当に必要なのかどうか検証します。

 


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たしかに発酵力は上がるケド…?

実際に予備発酵をしたものとしないもので発酵力の差を見てみると、確かに予備発酵したものの方が同じ時間で発生する炭酸ガス量が多く、発酵力の向上はあると言えます。

ですが、そもそもインスタントドライイーストは予備発酵せずに使うモノですので、ほとんどのレシピも予備発酵無しで使う前提で作られています。

なので、実際にはあえて予備発酵する必要は無いですし、しない方が良い場合も考えられます。

それはどういう場合かというと…

 

発酵オーバーの恐れアリ??

例えば夏場のパン作り。お部屋の温度を厳密に管理できる環境ならまだしも、おそらくキッチンにはエアコンがないお宅の方が多いでしょう。

パン作りをする部屋の温度が27℃を超えてしまうこともあるはず。

「冷水使って捏ね上げ温度ピッタリ調整してるから大丈夫!」←甘いです!

捏ね上げ温度が正確でも、その後に生地は室温の影響を受けて生地温度は高くも低くもなります

冬場はあっという間に冷たくなりますよね?夏も同じです。特に分割後の小さい生地は簡単に温度が芯まで変わるので、暑い部屋で作るとその分その後の発酵力が余分に高くなってしまうでしょう。

すると、時間通りの発酵を守っていても事実上発酵具合がオーバーすることになります。

発酵不足は時間延長で適正発酵にもっていける、けどオーバーはもう戻せません。

特に最終発酵後の焼成タイミングは分単位で良し悪しが大きく変わってしまいます。

その点を考えると、基本的にはわざわざ予備発酵させる必要も無いと言えます。

 

ミキシングにも支障が出る!?

これはあくまで厳密な理論上の話ですが…

ミキシングは基本的に20分以内で完了させるのが良いと言われています。

それはなぜか?概ねイーストの発酵によるガス発生が、水を得てから20分後以降からスタートするからです。

(発酵というのは生命活動なので水を得たらすぐに始まります。糖分を分解して炭酸ガスとアルコール(又は水)にする一連の作業に最初は20分かかるということ。「発酵」の中に「ガス発生作業」が含まれる、そんなイメージです)

そして、ガスが発生しはじめる前に捏ねを完了させるのが望ましいということ。

なぜか?生地内に発生したガスはクッション効果をもち、生地に加える力が軽減されてしまい、その分ミキシング効果が弱くなり余計に長く捏ねる必要がでてくるから。また、その状態でミキシングした生地の伸展性や丈夫さは、上手に作った生地に比べてあまりよろしくないとのこと。

予備発酵させてから捏ねるというのは、つまりこの20分の猶予すら与えられないということです。捏ね始めで既にガスは発生していくので、「ガスが発生する前に20分以内で完了させる」ができないのです。

そういう観点から見ると、予備発酵はむしろやらない方がいいと言えます。

(ただしこれは非常に微々たる差です)

そもそも同じく予備発酵不要な「生イースト」をあえて予備発酵させて使用するパン屋さんはまず見たこと無いですし、インスタントドライイーストだって普通に直接入れています。

※勘の良い人なら「じゃあ中種法とかどうなの?ダメじゃん」って思うかもしれません。確かにこの理論の上ではデメリットがあるように見えます。でも、そのごくわずかなデメリットを上回るほどのメリットがあるというだけです。その結果としてミキシング時間が短縮されているのです。

 

あえて予備発酵させるとしたら?

ここまでインスタントドライイーストは予備発酵するな!みたいな言い方してますが、そうはいってもお家でパン作りする場合においては予備発酵が効果的なケースもあるかと考えています。

一つはイーストが古い場合。

頻繁にパン作りをするお家じゃなければ、どうしてもイーストが古くなってしまいますよね。すると発酵力も微妙に弱まってしまいます。

イーストを増やすのも、生地の温度を少し上げるのも、発酵時間を延長するのも一つの手ですが、その辺の調整が難しく面倒に感じるなら予備発酵という手もアリだと思います。

二つ目は冬でお部屋が寒い場合。

キッチンの温度を25℃まで調整しきれないお宅もあるかと思います。

すると、捏ね上げ温度はもちろん分割中や成型中に生地が冷やされてしまい、パン作りの全体を通してどうしても発酵が遅くなりがちです。

少し高めの温度設定の発酵室を使う手もありますが、生地の温度が冷たい状態から温かい状態まで移行できるのには少し時間がかかります。その間はどうしても発酵が遅くなっています。

そういう観点で見れば、予備発酵させるのもアリだと思います。

 

とはいえ僕はわざわざ予備発酵しません。あまり必要性を感じないからです。

大事なのは「ネットで予備発酵は常にやったほうがいい!って書いてあったからとりあえず予備発酵させてる」と鵜呑みにするのではなく、自分で試して本当に必要だと思ったら取り入れること。

逆にあまり必要性を感じなかったらやめちゃっていいんです。

個々人の捉え方による部分なので押しつけはしません。デメリットをよく把握したうえで、ご自分のスタイルを見直してみてください。