【赤サフ・金サフ・青サフ】イーストの違いと使い分け方!プロでも知らない注意点も…!

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パン作りで使うインスタントドライイーストのオススメ商品として紹介されることの多い赤サフ金サフ

どっちを選べば良いかお困りの方もいるかと思います。

実はこの二つの間には結構大きな違いがあるので、うまく使い分けることが重要です。

ここでは赤サフと金サフの違いを科学的な仕組みから解説し、オススメの使い分け方をご提案します。

ついでにちょっとマイナーな青サフとピザ用サフの特徴とあまり知られていない効果的な使い道についてご紹介します。

 

赤サフと金サフの違いは?

サフ・インスタントドライイーストの赤サフと金サフの違い。それは「耐糖性の有無」です。

使い分けの目安としては、赤サフには耐糖性が無いため砂糖使用量0~12%の生地に、金サフには耐糖性が有るので砂糖12%以上の生地での使用が推奨されています。

また、耐糖性の有無によって発酵の仕方が微妙に違います。それぞれどんな特徴があるのでしょうか?

赤サフの特徴と向いているパン

赤サフ 金サフ 違い

砂糖を入れない無糖生地から、砂糖12%程度まで、いわゆるリーンな生地に対応しているとメーカー側から表明されています。

そのためフランスパンなどのハード系や、フォカッチャなどセミハード系、シンプル食パンなどに向いています。

発酵の立ち上がりの早さから、これらのパンにおいて安定した膨らみを獲得することができます。

逆に砂糖が高配合の生地だと発酵力が持続せず、安定した膨らみを獲得することが困難です。

金サフの特徴と向いているパン

赤サフ 金サフ 違い

砂糖12%以上の高配合のリッチなパンを作る際には金サフに切り替えることをメーカー側は推奨しています。

あんぱんやメロンパンなどの菓子パンはもちろん、砂糖12%以上の生地を扱う際には金サフを使うことで持続力のある発酵を得られます。

逆に、発酵の立ち上がりは赤サフと比べると劣る傾向があるので、低糖生地で使うのは推奨されておらず、かえってイースト量を増やす必要が出てきます。

 

耐糖性イーストの仕組み「なぜ金サフは糖分に強いのか」

「耐糖性」と聞くとなんだか人工的な施しがされているように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。

同じ種類の酵母菌の中でも人間同様いろいろな個性の菌がいて、その中から赤サフと金サフで個性の異なる酵母菌を採用しているだけです。

では、どんな個性の違いがあるのか?

なぜ金サフに耐糖性があるのか、そのカギは「インベルターゼ活性の差」にあります。

インベルターゼとはショ糖(砂糖の主成分)を分解する酵素「ショ糖分解酵素」のことで、酵母菌が保有している酵素の一つです。

※ちなみに酵母菌は他にもマルターゼ(麦芽糖分解酵素)とチマーゼ(ブドウ糖・果糖分解酵素)も保有しています。

耐糖性のある金サフはインベルターゼ活性が低いためショ糖の分解が遅く、耐糖性の無い赤サフはインベルターゼ活性が高いためショ糖の分解が早いのです。

「え?逆じゃないの?」と思ったかもしれませんが、ミスではありません。

なぜショ糖の分解が遅い方が耐糖性なのか、それはショ糖とブドウ糖・果糖では浸透圧が全然違うからです。

 

砂糖を多くするほど発酵力が低下するのは、生地内の浸透圧が上昇することで酵母菌の細胞内水分が抜かれて活性が低下してしまうからです。

(果物に砂糖をまぶしたり、野菜やナメクジに塩をかけると脱水されるのと同じ原理です)

浸透圧が高ければ高いほど酵母菌はどんどん脱水されて活性を失うわけですが…

ブドウ糖と果糖はショ糖の二倍の浸透圧があるのです。

赤サフ 金サフ 違い

高インベルターゼ活性である赤サフは、生地中でショ糖をどんどん分解して単糖類(ブドウ糖と果糖)にしていきます。

ですが生成された単糖類をすぐに炭酸ガスとアルコール(又は水)に分解することはできないため、ブドウ糖と果糖がどんどん溜まっていきます。

すると生地中の浸透圧がどんどん高くなっていき、赤サフの酵母菌は自分で自分の首を絞める結果となります。

赤サフ 金サフ 違い

ですが、低インベルターゼ活性である金サフは、ショ糖の分解がゆっくりなので、単糖類が生成されたらその都度炭酸ガスとアルコールに分解していくことで、ブドウ糖と果糖はそこまで溜まっていきません。

そのおかげで生地中の浸透圧が急上昇することなく、金サフの酵母菌は平穏に過ごせるということ。

赤サフ 金サフ 違い

これが耐糖性イーストの真実です。

この原理は金サフだけでなくセミドライイースト金ラベルや国産生イーストにも同じことが言えます。

耐糖性イーストの注意点

そんな仕組みであるために、耐糖性イーストでも対応できない高糖生地があります。

それはハチミツを大量に使った高糖生地です。

金サフ デメリット

ハチミツはショ糖ではなく果糖とブドウ糖から成り立つので、これを使うと最初から生地中の浸透圧がお砂糖で作る場合の二倍になってしまいます。

こうなると、いくら低インベルターゼ活性の酵母を使おうとも無意味です。

ハチミツを大量に使って生地を作ること自体そんなにないかと思いますが、生地からもハチミツの風味が感じられるハチミツパンを作りたいと思った時にはこのことを思い出してください。

青サフやピザ用サフの違いと使い道

青サフ 違いピザ用サフ 違い

青サフとピザ用サフが赤サフ・金サフと大きく違う点、それは「ビタミンCの有無」です。

赤サフと金サフにはビタミンCが添加されており、酸化剤として働きパン生地のグルテンをより丈夫にします。

そのせいで焼きあがるパンの食感は引きが強く「ムギュっと、ムチっと」したものとなります。歯切れが悪いと言い換えることもできます。

ですが青サフとピザ用サフはビタミンC無添加なので、グルテン強化作用が無い代わりに歯切れの良い食感のパンが出来ます

その上、必要以上に生地が締まることもないためバターロールなど手の込んだ成型をする場合にも青サフとピザ用サフは向いていると言えます。

 

実はパン屋さんで一般的に使われている生イーストもビタミンCは含まれていないので、赤サフ金サフよりも青サフの方がよりパン屋さんらしいパンになると言っても過言ではありません。

ただし耐糖性は無いので砂糖15%までの生地で使用が目安です。

※生イーストとは別で酸化剤を添加しているベーカリーもあるのでその場合はむしろ赤サフ金サフの方が近いパンになります。あくまで無添加の場合のみです。

 

ピザ用サフはピザのように薄く伸ばす成型がよりやりやすくなるように作られているので、クロワッサンなど麺棒で広げるパン作りで活用すると非常に作りやすくなるのでオススメです。

 

※各種引用:製品情報|ルサッフル【LESAFFRE】