しっとり感が増してそれが長続きすることで日持ちが増し、もちもち感も得られることで人気の「湯種パン」。
ご家庭で湯種パンに挑戦される方も多いのではないでしょうか?
しかし、湯種の肝である「でんぷんのα化(糊化)」について深堀りすると、湯種作りで多く使われている方法では実は湯種の効果が十分に引き出せていないことがわかります。
そのため十分な効果を得るためには、火にかけながら湯種を全体的に加熱する手法を取っているお店もあります。
しかしこれでは危険と手間が伴いますし、ご家庭で鍋を使ってそれを再現するのも手間ですし焦げる恐れもありハードルが高いのです。
今回は、湯種のポテンシャルを120%引き出すための方法で、ご家庭でも簡単に手間なく出来る方法をご紹介します!
湯種に大切な「でんぷんのα化」について
湯種法やでんぷんのα化についての基礎知識はこちらの記事で詳しく紹介しています。なぜ熱湯を粉にかけて混ぜるだけではダメなのか、についても詳しく説明がありますので、気になる方はこちらからお読みください。
お家で簡単!レンジ湯種製法
電子レンジを使うことで、湯種のα化率を向上させてポテンシャルを120%活かすことができることがわかりました!
作り方の一例をご紹介します。
配合例
- 強力粉…30g
- 熱湯…60g
下準備
事前に湯種に使う水を沸かしておく。
水を計量してから沸かすのではなく、沸騰したお湯を計量して60gにする。
手順
- レンジ対応耐熱ボウルの中で、強力粉と熱湯を素早く混ぜ合わせる。
- ラップをかけて500W 30~40秒ほど加熱して、湯種の温度を75℃くらいまで上げる。
- 白っぽくて半透明さがまだ残っていた湯種が、やや透明度が増して色味が変わります。
- 再度混ぜて湯種を均一化させる。
- 冷蔵庫で一晩保存。
レンジの加熱時間は作る湯種の量によって変わります。様子をみながら小まめに加熱して微調整してください。
また、この時に温度を計るのに役立つのが赤外線センサータイプの温度計です。
棒を差し込むタイプでは正確な温度がわかるころには湯種の温度が下がってしまいますので、とても効率が悪いです。
ですが赤外線タイプならボタンを押すだけ1秒で温度がわかるので、温度が下がらないうちにすぐに再加熱できます。
カレーパンなどの揚げパン調理をする際の油の温度も簡単にわかりますし、だいたいの生地温度も把握することができるので、1本あるとかなり便利でおすすめです。
こちらから商品を直接ご覧になれますのでよかったらお使いください☆
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アルカリイオン水を使うと、湯種のα化がスムーズ
アルカリイオン水はでんぷんのα化を普通の水よりスムーズに進める効果があるため、湯種を作るのに使うとより効果を高めることができます。
実際、ただ熱湯をかけて混ぜるだけでも、水道水でやるよりアルカリイオン水の方が熱湯の馴染みも良く湯種の透明度が高くなります。
本来、でんぷんが十分にα化するにはでんぷんの3倍量の水分が必要であるため、完全なα化は湯種ですら得ることができないと言えます。
なので、少しでもα化率を高めるために、アルカリイオン水を使ってみるのも一つの手段と言えるでしょう。
アルカリイオン水の製パン効果についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
湯種を作る手間すら省くなら、湯種パンミックスを使ってみるのもオススメ
それでも湯種を前日のうちに作る手間が面倒なことってあると思います。
思い立った時に作りたいですよね。
そんな時に便利なのが、奥本製粉で製造されている「もっちり湯だねパンミックス」です。
粉末湯種がミックスされており、イーストと水だけご自分で用意すれば簡単に湯種パンが作れます。
こちらで実際に使ってみた感想などを紹介しています。
まとめ
いま、奥本製粉を初めとして、様々なお店でいろいろなタイプの湯種が開発されています。
全粒粉を使ったタイプや、更に水分を多く使ったゲルタイプのものまで…
でんぷんのα化に最適なのは粉の3倍量の水分であることを利用したり、まだまだ湯種で試すべき道は残されています。
今後もこのブログでは湯種の検証を取り扱っていこうと思います。
皆さんもぜひ、120%のポテンシャルを引き出せる湯種を使って、おいしい湯種パンを作ってみてくださいね♪
2022/12/28
by BAKE FIRST
(パンシェルジュ一級)