「パンを作るとき、牛乳の代わりにスキムミルクで代用できますか?」
といった疑問をよく見かけます。
結論から言うと、代用はできます!
とはいえ、全く同じパンが出来るというわけではありません。
今回は、牛乳の代わりにスキムミルクでパン作りをする場合のやり方と、代用で作ったパンはどんな違いがあるのか、実際に作り比べて解説します。
牛乳をスキムミルクで代用する方法
本来使うべき牛乳の量を100とした場合…
「牛乳100=水90+スキムミルク10」
このように、水とスキムミルクを9:1の割合でブレンドすれば牛乳の代わりになると言われています。
ですが、そもそも牛乳とスキムミルクでは成分的に決定的な違いがあるので、完全代用ということにはなりません。
その違いとは…
牛乳とスキムミルクの成分的な違い
スキムミルクは脱脂粉乳とも呼ばれる名の通り、脂肪を脱した粉ミルクです。主成分は糖質(乳糖など)とタンパク質(カゼイン・ホエイなど)。
牛乳には乳脂肪が含まれていますから、スキムミルクと水をブレンドしたものは無脂肪乳ということになります。
ところで乳脂肪たっぷりの乳製品といえばバターや生クリームが想起されます。
これらはどちらもコク深い風味がありますよね?それでしか味わえない香りです。
ということは、牛乳をスキムミルクで代用するということは、「乳脂肪の香ばしさは得られない」と考えられますね。
じゃあ、実際のところ牛乳で作ったパンはスキムミルク代用で作ったパンよりもミルキーでとても美味しいものなのでしょうか…?
※乳脂肪を脱していない「全粉乳」というものもあります。これなら牛乳と成分的にほとんど同じですので、完全代用と言っても差支えないかと。でも、香り成分は時間と共に揮発するものだから、香りを完全再現できるかというと、100%は難しいかも…入手が難しいので機会があればその時検証してみたいです。使ったことはあるんですけどね、その時は比較とかせずに使ってたので特に恩恵を感じていなかったです(笑)
スキムミルク、やっぱり風味では勝てないか…?
牛乳の代わりにスキムミルクでパンを作っても、生地感は特に違いは感じられませんでした。作る分には遜色なく作れます。
ですが、やはり焼き上がりの香りを比べてみると、牛乳の方がマイルドなミルク風味をより感じました。
ですが、別にそこまで大きな差じゃないんですよね。匂いの違いに意識を集中させた結果わかる、って程度で。
普通に何も言われずに召し上がれって出されたら、それが牛乳仕込みなのかスキムミルク代用仕込みなのかは当てられないでしょう(少なくとも僕には難しい)。
結局、牛乳仕込みと言ってもそんなにミルク風味の恩恵って受けられないんですよね。
ミルク風味そのものをパンに付与するというよりも、乳糖を加える事によってメイラード反応を強化して、メイラード反応由来の香ばしさを付与するといった方向のメリットが大きいのかなって思います。
なので、誤解を恐れずに言えば牛乳の代わりにスキムミルクでパン作りしても何の問題もありません!じゃんじゃんスキムミルク使ってください!
(とはいえ、クリームパン用のカスタードクリームとか作るときってどうなんだろうね?気になるから今度やってみよう)
↑カスタードクリームをスキムミルクで作ってみたら…風味もコクも不足してあまり美味しくなかったです。
2023/04/03
by BAKE FIRST(製パン科学研究家)