高級生食パンを生クリームなしで作れるのか?

こんにちは!製パン科学研究家の"BAKE FIRST"です(・ω・)ノシ

高級生食パンを作るために生クリームを買っても、なかなか使い切れないですよね。

ですが、そもそも高級生食パンのあの味は生クリームが無いと作れないものなのでしょうか?気になりませんか?

生クリームって高いから、無しで作れるに越したことありませんよね。

今回は高級生食パンを生クリーム無しで作れるかどうか、その検証の結果を解説します。

最後にレシピもついているので気になる方はご自分で作って確かめてみてください!

↑クリックで応援お願いします!

 

高級生食パンらしさの要因は何か?

普通の毎日食べれるシンプル食パンと高級生食パン、これらを分つ要因って何でしょう?

僕は以前高級食パン専門店に勤務していた経験があるのですが、以下のように考えています。

  • 糖分合計が12%以上という「食パンらしくない」配合
  • 油脂分合計が8%以上という「食パンらしくない」配合

主にこの二つが合わさってはじめて「高級生食パンらしさ」に繋がると思います。

基本的な食パンでは糖分5%前後で油脂5%前後、ホテルブレッドですら各8%前後です。

食パンの油脂分は8%を超えると毎日食べるのに向かない、そんな言い伝えが業界にはありますが、それを遥かに超えた食パンが高級生食パンです。

配合からして明らかに「たまに貰って嬉しい贅沢」というコンセプトであることがわかります。コンスタントにリピートするものではありませんね。

 

「え、『生クリームを使っている事』これが抜けてるよ!」

そう思った方もいるでしょう。

しかし、生クリーム自体に固有の効果があるかと言うと…

生クリームをパンに使う効果は?

生クリームを使うことがパンにどのような影響を与えるでしょうか?

  • 歯切れが良い
  • 口溶けが良い
  • ミルキーな風味

などと言われることが多いですが、実際にはどれほどの効果が期待できるのでしょうか?

比較実験で生クリームの効果を調べてみました。


www.youtube.com

それって生クリームでしか表現できない?

上記で触れた生クリームの効果は、生クリームだけでしか表現することが出来ないのでしょうか?

答えはNOです。

「生クリームを使うと、乳脂肪の先入れによりグルテン形成が阻害されて、歯切れ良く口溶け良い食感になる」

と言われますが、結局それってグルテン形成が浅いことが根本原因であり、生クリームじゃなくても再現できることです。

というか、高級生食パンはグルテン形成が浅いのかと言うとそんなことはなく、むしろミキシング段階でいうファイナルステージまで時間をかけて捏ね上げます

なので「グルテン形成の阻害」云々の効果は実際には得ていないことになります。

ただし、油脂を増やせば歯切れは良くなるので、高級生食パンの歯切れ良さは単純に油脂が多いことによります。

生クリームと植物性クリームの違いは?

生クリーム単体での効果が意外と大きくないとはいえ、植物性クリームと比べるとやはり違いがわかるレベルです。


www.youtube.com

「生クリームは高いから、代わりに植物性クリームを使おう…」

誰しも一度は考えたことあるかと思いますが、植物性クリームだって製パン材料の中で比べたら決して安い食材ではないので、わざわざ使う程のものでは無いように思います。

それよりも、練乳を増やしてミルク風味を補い、生クリームの乳脂肪分の量だけバター&ショートニングに置き換える、そんなやり方の方が無駄も無く理にかなっていると考えます。

実際に生クリームなしで作る高級生食パンのレシピを開発してみたところ…

生クリームなしで作る高級生食パンのレシピ


www.youtube.com

なんと生クリーム無しでも高級生食パンそっくりなパンが作れちゃいました!

以下に配合を掲載します。

材料 重量 BP%
強力粉 240g 100%
イースト 3.1g 1.3%
練乳 38g 16%
はちみつ 12g 5%
食塩 4.8g 2%
151g 63%
バター 19g 8%
ショートニング 12g 5%

なぜこのような配合にしたのか、その意図は動画をご覧ください。

「本当にこんなレシピで高級生食パンが出来るの?」

気になる方はぜひ作ってみてください。

<工程>

ミキシング ... 指紋が透けて見える膜が出来るまで

捏ね上げ温度 ... 27℃

一次発酵 ... 60分

分割丸め ... 2等分

ベンチタイム ... 15分

成形 ... 麺棒でガス抜き後、俵型成型

最終発酵 ... 38℃ 40分

※時間よりも発酵具合で判断、発酵オーバー注意

焼成 ... 200℃ 25分

☆成型方法や最終発酵具合の見極め等はこちらのレシピ動画を参考にしてください。

4年の時を経て進化した、手ごねでも作りやすい製法の高級生食パン - YouTube

 

2023/04/15

by BAKE FIRST(製パン科学研究家)