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こんにちは!"BAKE FIRST"です(・ω・)ノシ
パン作りの要とも言える「発酵」の工程は、どこからどこまでが失敗なのか見極めも難しく、失敗してしまった場合にどうすればいいのかという質問も多く見かけます。
今回は、パン作りにおける発酵の失敗について、様々なパターン別にその対処法やリメイク方法の提案について解説します!
一次発酵での失敗
一次発酵はパン作り工程の中でも初期に位置するものなので、多少の失敗ならその後の対処次第であるリカバリーは可能です。
ここでは失敗のケースごとに分けて解説します。
イーストの入れ忘れに気付いたら…
生地を捏ね上げて発酵させてる最中に、
「全然膨らまない…イースト入れ忘れた!」
と気付いた場合、そこからイーストを加えて捏ね直すことが可能な生地とそうでない生地があります。
基本的にしっかり捏ねること前提で作られているソフト系のパン(食パン生地や菓子パン生地など)であれば、捏ね直しでもギリギリなんとかなります。
しかし、元々あまり捏ねないハード系やセミハード系のパンだと、捏ね直したことによって捏ね過ぎになってしまい、本来の仕上がりとはかけ離れてしまいます。
なのでその場合は本来作りたかったパンは諦めて、代わりに別のアイテムへリメイクすることをオススメします。
リメイク案については後述します。
ただし、イーストを加えて捏ね直す場合に注意すべきことがあります。
インスタントドライイーストをそのまま生地に加えてしまうと間違いなく顆粒が溶け残ってしまいます。
特にソフト系のパン生地には油脂が練り込まれていますから、イーストが溶けて分散するより先に顆粒が油でコーティングされてしまい、余計に溶けにくいのです。
なので、少量の水と混ぜ合わせてペースト状にしてから生地に混ぜ込む必要があります。
生イーストを後入れする場合は、インスタントほどではないですがやはり溶け残りの心配があります。
最低限、加える前に細かく砕いてそぼろ状にしておきましょう。こちらも少量の水でペースト状にしたほうが溶け残りの心配は減らせます。
一次発酵オーバーしちゃった!
基本的にオーバーしてしまったものは戻すことは出来ません。
(時間を巻き戻す異能力があれば別ですが…w)
しかし、許容範囲はあります。
例えば60分発酵のところ30分オーバーして90分になってしまったケースであれば、それくらいなら案外ちゃんと美味しいパンに仕上がることが多いです。
(詳細はこちらの動画をご覧ください)
大事なのは生地の状態を確認すること。
フィンガーチェックをしてみて生地がぷすーっと勢いよく萎んでしまったり、匂いを嗅いだら強過ぎて不快なアルコール臭(行き過ぎると酸味臭になる)がするといった状態なら、諦めるべきです。
ただしオーバーナイトさせた生地などはアルコール臭が目立つ傾向にありますが、あくまで程よく心地よいアルコール臭なら問題ありません。
不快と感じるか否か、ご自身の感覚で判断してもらって構いません。
厳密に調整して作るなら、例えば一次発酵30分オーバーしてしまったなら、その後の丸めをかなり弱くしてベンチタイム20分を10分に変更したり、最終発酵が普段より早く進む可能性を視野に入れて調整すると良いでしょう。
この辺の調整感覚をつかむには、こちらの動画が最適です。
二次発酵での失敗
二次発酵(最終発酵)の場合、次は焼くだけなので失敗のリカバリーは難しいです。
ですが許容範囲内であればなんとか形にする事は可能です。
発酵が少しオーバーしてしまった生地は、糖分が過剰に消費されているため焼き色がつきにくいです。
なので、通常より高めの温度で焼成することで同じ時間でも求める焼き色に近づける事ができます。
逆に同じ温度で時間だけダラダラ延ばしてしまうと、水分蒸発が増えてパサつきやすく表皮が分厚い仕上がりになってしまいます。必ず温度で調整しましょう。
また、角食パンで二次発酵をオーバーしてしまうと、焼き上がりがカックカクになってしまい腰折れしやすかったり、そもそも蓋が閉められないといった状況にも陥ります。
この場合は無理に角にせず山型食パンにしちゃいましょう。
無理に蓋をすると最悪型が歪んでしまいますし、蓋を開ける際にパンが爆発する恐れもあるので注意です。
二次発酵オーバーしてしまった生地の特徴をまとめておきます。
- コシが弱く窯伸びが小さい
- 甘味が少ない
- 発酵風味は強い
- 焼き色が薄い
- 内相が粗い
甘味・風味・内相については修正できませんが、焼き色だけでも焼成で調整したいところですね。
ちなみにパンの風味の大部分は焼き色からくるメイラード反応の香りです。
焼き色をこだわることはパンの風味にこだわることと同じです。
なぜうまく膨らまない?その原因
レシピ通りに作ったはずなのに、なぜだか発酵が思うように進まない…
そんな時、「酵母菌による発酵が遅いのかな」とだけ考えがちですが、実はそれだけが原因ではないです。
ここでは生地の膨らみが遅い場合に考えられるあらゆる原因について挙げていきます。
- 生地の温度が低くなってしまった
- 使用した酵母菌の活性が弱い
- レシピの想定よりも生地が硬い
- 丸めや成形などで生地を締めすぎた
それぞれ詳しく見ていきましょう。
生地の温度が低い
捏ね上げ温度が低かったり、室温が低過ぎて作業中に生地が冷えてしまったりなど、あらゆる影響から生地の温度が冷えてしまうと発酵は遅くなります。
20℃と27℃の生地をそれぞれ同じ27℃の部屋で発酵させると、当然前者は発酵が遅い。それは発酵速度というのは酵母菌が今そこに居る環境(つまり生地の中)の温度次第だからです。
人間と同じです。皆さんも冷凍倉庫に入った直後はまだ元気に生きていますが、次第に体温が下がっていき元気がなくなり、最終的に凍死しますよね?
寒い部屋に入ったから凍死するのではなく、寒い部屋に入って結果的に体温が低下してしまったから凍死するのです。逆に体温さえ下がらなければ凍死しません。
使用した酵母菌の活性が低い
開封後かなりの日にちが経過してしまったイーストなどは、開封直後に比べて意外と活性が低下しています。
これによって普段通り・レシピ通りにやっていても発酵がなんとなく遅いという現象に見舞われます。
レシピの想定よりも生地が硬い
意外と見落としがちな点ですが、あらゆる要因によってレシピ作成者の想定よりも硬い生地が出来てしまっているパターンも多いです。
例えばこんな要因があります。
- ミキシング中に余計に粉を加えた
- 水分が少なすぎる
- 使った粉の種類がかなりの系統違い
- 丸めや成型など手作業の締め加減が強すぎ
いずれにせよ、この場合の「発酵が遅く感じる」のは、実際には酵母菌の発酵が遅いというよりは、生地が硬くて膨らみにくくなってしまっているのが大部分の原因です。
ものすごく硬い風船を膨らませるようお願いしているようなものなのです。
あまりに酷いと生地が硬いだけでなく柔軟性も不足していてガス保持力が弱いので、少しずつガス漏れしていて十分な大きさまで膨らむのを待っていたら中身は過発酵になっていた、なんてケースもあります。
やはり適切な計量と生地作りがパン作りでは重要ですね。
過発酵で失敗したパン生地をリメイクするには?
最悪、発酵オーバーでアルコール臭がちょっと強いな〜と感じたら、ピザにしちゃうのがおすすめです。具材たっぷり、しっかり焼成してある程度は誤魔化せるでしょう。
また、ナンにしてカレーなど味の濃いものと一緒に食べるのも良いですね。
あるいは、その場では焼かずに「古生地」として冷蔵庫で保存しておいて、次回パンを作る際に粉の10%ほど「老麺」として材料に加えてしまうのも良いですね。
パン屋さんでも生地の端数が余ってしまった場合に、冷蔵庫に保管して翌日ミキサーに粉と一緒に混ぜるのはよくあることです。
これを行うと老麺法になるのですが、10%ほどしっかり使えば生地のこね時間が短縮できたり発酵風味がより豊かになるなどメリットも大きいです。ただし発酵力も強くなるので再び発酵オーバーの失敗をしないよう注意してください。
※酸味臭まで行っちゃうと流石にアウトでしょう…これは酢酸菌が繁殖してアルコールを酢に変えてしまっている証拠です。
by BAKE FIRST(製パン科学研究家)