上達するパン作りの「考え方」by BAKE FIRST

知っておくだけでパン作りが上達する「考え方」のコツをご紹介します!

レシピ通りに二次発酵させてるのにパンがふっくらしない?温度について見直してほしいポイント

パン作りは酵母菌の発酵力を借りて膨らませているので、温度管理が命です。

もしあなたがパン作りでレシピ通りの時間だけ二次発酵させてるのにふんわり焼きあがらない場合、温度管理がどこか問題があるかもしれません。

パン作りの温度について、確認すべき点がいくつかあります。

  1. 捏ね上げ温度
  2. 作業中の室温
  3. 発酵環境の温度

これらの温度をしっかり管理できていないと、いくらレシピ記載の時間通りに二次発酵をさせても、パンはふっくらと焼きあがりません。

今回は、二次発酵をレシピ通りにさせているのにパンがふっくらしない人がチェックすべきポイントを三つ解説していきます。

捏ね上げ温度

捏ね上げ温度は全工程に影響を及ぼす

生地の捏ね上げた時点でどのくらいの温度になっているかどうかは、その後の工程すべてに影響してくるため非常に重要です。

プロ向けレシピには捏ね上げ温度が記載されていますが、世の中の多くのレシピには捏ね上げ温度が記載されていません。

基本的には多くのパンにおいて生地の捏ね上げ温度は27℃前後が理想とされています。

(一晩冷蔵させて作る場合や、フランスパンなど長時間かけて作る場合はもう少し低い温度となりますがここでは割愛)

この27℃という基本捏ね上げ温度の通りに生地を作ることができれば、その後の一次発酵、ベンチタイム、二次発酵も時間通りにやれる確率が高まりますが、温度がずれてしまうとそれらすべての工程で時間を微調整しなければなりません。

よく言われる目安として、捏ね上げ温度1℃の誤差で20分の調整が必要、というものがあります。

例えば捏ね上げ温度が26℃になった場合は一次発酵を20分延長したり、逆に28℃になった場合は20分短縮したり。

あくまで目安ですが、逆に言えば捏ね上げ温度がたった1℃違うだけでも20分の差が生まれるということ。2℃3℃も違った暁には、かなりの差が出てしまいますね。

ここで調整をせずに一次発酵が不足したままどんどん進んでしまうとどうなるか。

途中の分割や成型でガスが抜けるにしろ、一次発酵で事前に生地内にできた気泡はその後の発酵力に影響を及ぼします。

一次発酵が不足していると、ベンチタイム・二次発酵とも発酵力が劣ってしまいます

当然、発酵力が劣った状態ではいくら時間通りに二次発酵させても同じレベルまで発酵しません。結果、レシピ通りの二次発酵ではふっくら感が劣って焼き上がります。

生地を指定された捏ね上げ温度にバッチリ捏ね上げるには?

仕込み水温の調整と捏ねによる温度上昇の把握

仕込み水の温度をしっかり調整することで、捏ね上げ温度を自在に操ることが出来ます。

捏ね上げ温度を自在に操る方法はこちらの記事で解説しております。

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 

家庭製パンで使える裏技「電子レンジで生地温度上昇」

電子レンジで不足した捏ね上げ温度を補うこともできる

これは賛否両論ありそうな裏ワザではありますが…実際に私が家で少量のパンを作るときによく使う方法です。

ごく弱めのワット数(150Wや200Wなど)で30秒ごとに加熱します。足りなければ再度少しずつ加熱していく感じです。

高いワット数で一気に何分も加熱すると、火が通ってしまいカチカチになりますのでご注意ください

ただし、電子レンジでの加熱は下の部分が先に熱くなりますので、生地の量があまり多い場合このやり方はおすすめできません。生地温度が不均一になりすぎてしまいます。

粉の量が200g程度であれば問題なく作れたので安心してください。300g~は微妙ですね。どうしてもやりたければ生地をいくつかに分割して一つずつ加熱し、最後に一つにまとめるといいかもしれません。

なんで一次発酵が不足してるとその後の発酵も劣るのか?

酵母の活性化不足

一つ目の理由としては、一次発酵を十分に行うことで酵母菌を事前に元気にすることが可能だからです。

ドライイーストを予備発酵させて使ったり、インスタントドライイーストでも予備発酵を行うことがありますよね?あれと同じような感じです。

生地の軟化不足

二つ目の理由としては、発酵が進んだ生地は柔らかくなり、より膨らみやすくなるからです。

もちろん、分割丸めや成型の直後は生地のコシが復活しますが、発酵が進むほど酵母菌が生成した微量のエタノールは生地のグルテンを軟化します。

そのため、いくらコシが復活するとは言っても、捏ね上げ直後の生地と一次発酵を終えた後の生地ではその状態が根本的に異なります。

生地体積が不足

三つ目の理由としては、生地の体積にも影響があるからです。

グルテンの網目構造でできた無数の小さすぎる気泡の中で、酵母菌はガスを発生させて気泡をより大きくしています。その上、一次発酵による時間経過がグルテン同士の繋がりをより強固なものへと変えます。

そうやって生地の気泡とグルテンが育てば、仮に手でパンチや丸めなどによるガス抜き行為をしたとしても完全に空気が抜けきることはありません。

なので捏ね上げ直後の生地より、一次発酵後にガス抜きをした生地の方が体積は大きくなっています。

てことは、最初からある程度ふっくらした生地を成型したのか、それとも密な生地を成型したのか、同じ大きさまで膨らませるなら後者のほうが時間がかかりますね。

 

 

作業中の室温

正確なパン作りには室温を調整する努力が必要

一次発酵もフィンガーチェックなどで十分にとれていることが確認できているのであれば、作業中の室温が適切かどうか疑ってください。

分割後に小さくなった生地は室温による影響をより大きく受けます。室温が低すぎると、分割前の生地とは比べ物にならないくらいすぐに生地温度は下がります。

分割前であってもご家庭でのパン作りでの生地量であれば、お店で作る量に比べてはるかに少ないのでその分室温の影響を大きく受けます

どんなに捏ね上げ温度を適正に仕上げても、室温で生地温度が下がってしまっては台無しです。

ちなみにパン屋さんの厨房室温は、25~27℃に調整することが多いです。

もし可能であれば冬場でも25℃前後まで室温を調整した方が良いです。

暖房だけでは部屋が暖まらないのであれば、鍋でお湯を沸かすことでも室温は上がります。湿度も上がって一石二鳥です。

 

発酵環境の温度

お風呂で発酵は意外と温度が低い

捏ね上げ温度も作業室温も問題ないのであれば、二次発酵環境の温度を疑ってください。

家庭用オーブンレンジの発酵機能を使っている方は、設定温度と実際の温度が同じかどうか確認してみるといいでしょう。

また、お風呂で発酵させたり、ビニールに入れてこたつで発酵させたりしている方は要注意です。多くのパンレシピは二次発酵は38℃前提で作られていますが、お風呂やコタツがその温度になっているかはわかりません。なので温度が低ければ時間通りでも当然発酵不足になります。

 

そんな時は、発酵見極めの基本スキルが必要となってきます。こちらの記事を読めばかなり見極める力はアップするはずです。

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 あとは、生地を載せた天板を揺らしてみたときに、生地がプルンプルンと揺れるくらいに膨らんでいればOK、という見極め方もよく使われます。

上の記事に書いてあることと合わせて使うとよりわかりやすいでしょう。

 

生地の温度管理に便利な赤外線温度計

電子レンジで生地温度を温めるという裏ワザがお家でのパン作りでは使えるわけですから、この際捏ね上げ温度とか室温とかは最悪ちゃんと出来なくてもなんとかなります。

その代わり、生地自体の温度は常に最適を保っておく必要があります

そのためにも、こういったボタン一つで一瞬で生地の温度がわかる赤外線温度計を一つ持っておくと非常に便利です。

あくまで表面温度を計るものではありますが、これが無ければ分割以降の小さい生地や成型後の生地温度は計れません。

これ一本あると普通の温度計には戻れなくなりましたので、皆さんも一本持って損はないかと!

 

 

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