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こんにちは!製パン科学研究家のBAKE FIRSTです(・ω・)ノシ
パン作りで捏ね具合をチェックする時に行う「グルテンチェック」で、なかなか薄いグルテン膜が出来なくてお困りですか?
指紋が透けて見える薄いグルテン膜が出来ない原因として皆さん最初に考えるのは捏ね不足だと思いますが、実はそれだけではありません。
知らず知らずのうちに綺麗なグルテン膜から遠ざかっているかも…?
ここではパン生地のグルテン膜が出来ない原因を解説します。
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捏ね不足(又は捏ね方が悪い)
当然ですがグルテン膜が出来ない原因として一番多いのは捏ね不足です。
まだまだ捏ね時間が足りないか、あるいは捏ね方が悪い場合もあります。
パン生地のミキシングというのは、生地に圧力を加えることよりもっと大事な目的があります。その目的とは…
まずは自分の捏ね方が正しいのかどうかも含めて、こちらの動画を使って
再確認しましょう。
「捏ねすぎでグルテン膜ができない」は誤解の可能性大
オーバーミキシングでグルテン組織が破壊される、これは理論的に正しいです。
しかし、強力粉のパンを手ごねで作る場合においては、オーバーミキシングの段階までもっていくことは至難の業です。
プロレスラーが粉量150gで頑張って捏ねればオーバーになるかな?というくらい実は大変です。
なので、グルテン膜が出来ない原因を「捏ねすぎによるものかな?」と考えてしまうと、本当は捏ね不足なのに次回さらに捏ねを少なくして余計に捏ね不足になる…という負のループにハマってしまいます。
オーバーミキシングになる前の段階で必ず生地は驚くほどツヤツヤ滑らかな見た目になりますから、それに気付かず捏ねすぎになることは手ごねではあり得ないと解釈して差し支えないでしょう。
※ただし薄力粉100%の生地などグルテンが少なく弱い生地の場合は手ごねでもオーバーミキシングとなる可能性があります。
捏ねは十分だけど膜の作り方が悪い
グルテンチェックのやり方が雑だと、実は捏ね具合は十分なのに膜が出来ない原因になり得ます。
どんなにいい生地であっても、弾力がありますから一気に無理やり伸ばそうとすれば生地は切れてしまいます。
ポイントは左右の手を上下互い違いに動かしてちょっとずつ伸ばすこと。
こちらの動画では4つのこね具合の段階でそれぞれグルテンチェックを行っていますので、併せてご覧いただくとよりわかりやすいかと思います。
「○○○パウダー」を使っている
ココアパウダーや抹茶パウダーなど、小麦粉とは異なるパウダー類を生地に練り込んでいる場合、グルテン膜が出来ない(というか出来にくい)原因となります。
パウダー類がグルテン結合の邪魔者となるためそもそも捏ね具合が十分でない、というのが一番多いパターンですが、捏ね具合が十分であってもやはり膜は破れやすくなります。
くるみやレーズンなど大きな具材を練り込む生地だと、生地の間に割って入るから切れやすいのが想像しやすいかと思いますが、原理としては同じだと解釈して構いません。
僕もココアパウダーを最初から混ぜて生地を作ると、膜が出来る捏ね具合までもってくことは難しいです。
対処法としては、パウダー類の後入れや中種法の採用などが挙げられます。
前者であれば、パウダーと同量の水を練り合わせてペーストを作っておき、捏ねの後半(生地の完成度8〜9割ほど)で加えます。
後者なら中種をプレーンで作っておけば、すでにグルテンがある程度強化された状態で本捏ねに入れますので、それだけでも捏ね時間は短縮できますし、さらにパウダー後入れも採用すればより作りやすくなるでしょう。
豆乳やココナッツミルクを使っている
実は知ってる人が意外と少ないのですが、豆乳・ココナッツミルクで生地を仕込むと確実に生地がおかしくなります。
普段通りの捏ね方と捏ね時間でも、「生地が滑らかにならない」「ぶちぶち切れる」といった現象に見舞われます。
これは捏ね不足ではなく、そもそも良い生地になり得ないというパターンです。
なぜそうなってしまうのか、pHやタンパク量など色々調べて長いですが未だに結論に辿り着けていません。
僕の現在の予想では、牛乳やアーモンドミルクとは固形成分の形状だったり大きさだったりが違うのではないか?と考えています。
生地が酸性に傾きすぎている
弱酸性が最もパン作りに適したpHですが、酸性に傾きすぎると今度は生地が壊れてしまいます。
生地が酸性に傾きすぎる原因はいくつかあります。
過発酵である
グルテン膜のチェックはミキシングの最後に行うモノなので、発酵もクソも無いって思ったかもしれませんが、発酵種法(特に中種法)の場合は起こり得ます。
発酵種の発酵がオーバーしすぎると、中種自体が酸性になってしまい、本捏ねではグルテンがぶちぶちと切れてしまい繋がりません。
もちろん、そこまでいくと無理やり最後まで焼き上げたとしても酸味が強く臭いもキツいため、とても食べられるものではありません。
酸性食品を材料に使っている
レモン汁や酢など強い酸性のものをほんの少しだけ配合することは、生地が弱酸性になるため有効な手段ですが、多すぎると酸性に傾きすぎて良くないです。
また、実体験ですが以前赤いパンを作りたくてハイビスカスパウダーを生地に練り込んだら、生地が滑らかにならずしまいにはぶちぶちと切れて結局生地がオジャンになりました。
調べてみたら酸性食品でした。
珍しい素材を使ってパンを作る時は意外と盲点になりやすい部分です。
自家製酵母のpHが低すぎる
自家製酵母はpHのコントロールが重要で、種として完成した頃にはどんな種類のものであってもpHは酸性寄りになっています。
ですが、発酵が進みすぎて強い酸性になってしまうとパン作りに適さないので、種継ぎで定期的にpHを調整する必要があります。
ただし種継ぎを繰り返すことで菌の生息割合も変わってきてしまい、理想のパンが焼けなくなるため定期的にリフレッシュ(1から作り直す)するお店も多いです。
自家製酵母種は詳細なレシピだと「pHいくつになったら使用可能」と書かれることもあるくらい。
失敗なく自家製酵母のパン作りを行いたいならpH測定器の購入も視野に入れるべきかと思います。
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2023/04/22
by BAKE FIRST(製パン科学研究家)