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こんにちは!製パン科学研究家の"BAKE FIRST"です(・ω・)ノシ
「パン生地の手ごねは大変だけど、お店レベルのふわふわパンが作りたい」
そう思って捏ね機の購入を検討されている方も多いかと思います。
今回は買って後悔しないパンの捏ね機は何なのか、実際の検証結果を交えて解説します。
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パン屋レベルのふわふわパンが出来る生地とは?
ここでの解説におけるパン屋レベルの生地の基準は、こね具合の4段階のうち最終段階(またはそのギリギリ直前)に到達している生地のことを指します。
具体的にはしっかり捏ねて作る食パン生地で、伸ばすと指紋が透けて見えるほどの滑らかで薄い膜が出来る状態です。
そして生地表面はとても艶やかで、よ~く見ると細かい気泡も見られます。
このような状態に至るためには、
- 十分な酸素混入によるグルテン酸化
- 生地に対する十分な圧力
- 十分な回数の引き伸ばし&折りたたみ動作
これらの条件が満たされた捏ね方をする必要があります。
パンの捏ね機として販売されているものを大きく分けると、
- ホームベーカリー
- ニーダー
- スタンドミキサー
この三つですが、これらは上記の条件を満たした捏ね方が出来るのでしょうか?
以下にその実態について解説していきます。
※パン屋で売られているパンの生地全てが必ずしも最終段階まで捏ね上げられた生地だと断定するものではありません。中には粉の風味を際立たせるため"あえて"ほとんど捏ねない製法を採用する場合もあります。
ホームベーカリーに捏ねを任せれば良い生地は作れる?
結論から申し上げますと、残念ながらホームベーカリーではパン屋レベルの生地は作れません。
その理由はホームベーカリーの構造にあります。
ホームベーカリーはパンケースの底部に羽がついており、連結したモーターの力で羽が回転します。
その回転によって生地を捏ねていく仕組みなのですが、まず単純に圧力不足です。
パン屋さんで使われている業務用の縦型ミキサーと違い、下からの回転のため生地が上に逃げる傾向にあります。
加えて底部でちょこまかと回転するだけで動きのダイナミックさに欠け、引き伸ばし&折りたたみ動作も不足する上、生地への酸素混入も多くは見込めません。
結果的にミキシング効率の悪い動きの構造のため、良い生地を作ることが出来ません。
なのでミキシングだけ機械に任せて成型や焼成などはご自分で行いたい方が、わざわざ捏ねのためだけに購入するのはオススメできません。
ホームベーカリーの価値はあくまでも
「放っておくだけで焼き立ての食パンが食べられる」
という点のみにあります。
ニーダーはパン生地を捏ねるのに最適か?
パン生地を捏ねることに特化した商品として存在しているニーダーですが、こちらもパン屋レベルの生地を捏ね上げることは出来ません。
実はニーダーがパン生地を捏ねる仕組みは、ホームベーカリーと大差ないのです。
メーカーによって外釜式か内釜式かの違いがあったり、ボウルや羽の形状がやや異なってはいるものの、底部の羽が回転することで生地を捏ねるという根本的な構造は同じです。
そのためホームベーカリーと同様の理由で良い生地を作ることが出来ません。
スタンドミキサーならパン屋レベルの生地が出来る?
ようやく朗報です。
スタンドミキサーならパン屋レベルの生地を作ることは可能です!
パン生地の捏ねにも使えるスタンドミキサーは、アタッチメントが何種類か用意されており、パン生地用には「ドウフック」または「スパイラルフック」を使用します。
フックが上から生地を押さえつけた状態で回転することで生地を捏ねるのですが、これは業務用縦型ミキサーと同じ仕組みです。
成形や焼成など、捏ね以外の工程は自分で行いクオリティの高いパンが作りたいという方にはスタンドミキサーの導入をオススメします。
スタンドミキサーの選び方とオススメ
パン生地のミキシングのために購入するなら、ハンドミキサーではなくスタンドタイプのみを選びましょう。
稀にハンドミキサーに付属のスタンドを取り付けることでスタンドミキサーとして使うことが出来る商品もありますが、馬力や耐性が不足しており土台も不安定なため不適格です。
以下にオススメのスタンドミキサーをご紹介します。
1200Wのハイパワー!安定性もバツグンで安価なスタンドミキサー
こちらは僕が所有しているスタンドミキサーです。
動画でも出てきたミキサーは数年前に購入したもので、コレの一昔前の型式でスパイラルフック(ステンレス鋼フック)が付属していませんでした。
ドウフックは付属していたのでそちらを使用していますが、こね具合は十分です。
グルテン使用の米粉パン生地のようにデリケートな生地だと、油断するとオーバーミキシングになるくらいミキシング効率が高いです。
その上、底部の吸盤が意外と強力なため高速で回しても比較的安定します。
もちろん作る生地量が多いほど遠心力が強く働くので、仕込み量次第では自分で押さえながら回さないといけないでしょう。
僕が試した限りでは、粉量350gまでなら速度5でも安定し、押さえる必要はありませんでした。
※置く場所の材質によっても安定感は変わってくるでしょう。
キッチンエイドなど信頼のあるメーカーのミキサーは家庭用でもかなり高価で中々手が出せない方も多いでしょう。
そんな方はこういったモノを検討しても良いと思います。
ただし、皆様にオススメするにあたってお伝えしておかなければならないことがあります。
このミキサーは中国製品です。
故にこういったデメリットがあります。
- ボディの素材が普通のプラスチックであるなど、作りが安っぽい
- 故障の際、郵送での修理対応などは期待できない
- 初期不良に当たった場合の返品交換の手間
特に僕がこのミキサーを初めて使った際に問題となったのが、アタッチメント結合部の粗悪さです。
以下に、安全に使い続けるにあたって工夫しなければならない対策をお伝えします。
結合部にショートニングを塗っておこう
結合部の素材が悪いのか、使っていくうちに削れて粉が出てきます。
それがミキサーボウル内にも落ちてパン生地に混入してしまうのです。
当時このミキサーを買ったばかりの僕は大きなショックを受けましたが、せっかく購入したミキサーなのでなんとかして使えないか考えた結果、結合部にグリスを差すことを思いつきました。
使ったのはショートニングです。これを結合部に多めに塗っておくことによって、摩擦による削れを防ぎつつも、多少削れてもショートニングに吸着することでミキサーボウル内にゴミが落ちることを防ぐことができました。
それ以降、特に追加塗りすることもなく安心して使い続けています。
日々の手入れ・清掃はしっかりと
機器の清掃を定期的に行うことは、機器の不具合にいち早く気付ける手段とも言えます。
先日、久しぶりにこのミキサーを使った際、アームの回転軸のネジ部分から黒いグリスのようなネットリした物体が少し漏れ出ているのを見つけました。
幸い、生地に落ちたりする前に気付いてしっかり清掃したので特に問題はありませんでした。
粘土が高く下に垂れ落ちるような物体ではなかったのもありますが、早い段階で気付けたのは使った後にボウルとフックだけでなく本体の拭き上げも行っていたからです。
他のどの機器にも言えることですが、手入れ・清掃は定期的に行いましょう。
世の中、安いものには必ずそれなりの理由があります。
このミキサーに関しては、ポテンシャルを馬力に全振りする代わりに安っぽい作りに仕上げることで驚異の値段を実現していると言えるでしょう。
馬力が不足していてはミキサーは役割を果たせないので、そういう意味ではこの商品をオススメできますが、安さの理由も十分感じられる製品でもあるため、購入・ご利用の際は自己責任のもとお願いいたします。
まとめ
「手ごねは大変だから捏ね機を買おう」
そう思って高いお金を払ったのに良い生地が出来なかったら、本末転倒です。
大きな買い物になりますから、慎重に検討しましょう。
2023/06/29
by BAKE FIRST(製パン科学研究家)