グルテンとは?パン生地が形成されるメカニズムを解説!

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こんにちは!製パン科学研究家の"BAKE FIRST"です(・ω・)ノシ

「グルテン=小麦粉のたんぱく質」って思っている方多いですが、実はコレ…不正確です!

今回は、パン生地の形成に必要不可欠な「グルテン」のメカニズムについて解説します。

パン生地の骨格「グルテン」とは何か?

グルテンとは、小麦粉に水を加えて練った際に形成されるたんぱく質の結合体のことを指します。

小麦粉に含まれる「グルテニン」「グリアジン」というたんぱく質は、水と混ぜることで結合し「グルテン」となります。

それぞれのたんぱく質には異なる性質があり、グルテニンは弾性、グリアジンは粘性をもちます。

この2つの特性が合わさることで、ゴムのような弾力を持ちながらも良く伸びる「粘弾性」がグルテンには備わっています。

小麦粉に含まれるタンパク質はグルテンではない!

皆さん誤解しがちな、『小麦粉に「グルテン」というたんぱく質が含まれている』という考え方、これは誤りです。

上記の通り、グルテンはあくまでたんぱく質の結合体であり、たんぱく質そのものの名称ではありません。

グルテン形成のメカニズム

グルテン組織の発達に欠かせないのは空気中の「酸素」!?


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パン屋さんレベルのふわふわパンを作るために必要なのは、十分なこね具合の生地に仕上げることです。

そのためには、生地のグルテン組織を極限までキメ細かく、かつ丈夫にする必要があります。

グルテン組織は網目構造となっており、それを細かくするということは網目の一本一本は細くなっていくわけですが…

その細さを維持するには繊維の一本一本がある程度丈夫でなければなりませんよね。

(網タイツとストッキング、後者の方が破れやすいですよね?破れにくいストッキングにするには繊維の一本一本が丈夫でなければなりません)

では、どうすればグルテン組織を丈夫にできるでしょうか?

必要なのは「酸素」です。

生地に酸素を取り込むことで、グルテンが酸化反応を起こします

酸化することでグルテンとグルテンの間に新たな橋渡しができ、それが生地中で起こることで丈夫なグルテン組織となります。

(この時に形成されるグルテン間での結合を「ジスルフィド結合」と言います)

グルテン組織を丈夫にするもの

酸化剤

パン作りで使われる「酸化剤」という添加物は、生地に配合することによって酸素が引き付けられ、引き付けられた酸素が今度はグルテンと酸化反応します。

これによって、酸化剤を使ったパンは

  • 生地の完成が早まる
  • 弾力の強い丈夫な生地になる
  • 引きの強い食感となる(歯切れが悪い)

といった特徴を得ます。

酸化剤として用いられる最もポピュラーなものが「ビタミンC」です。

実は家庭製パンで最も多く使われるインスタントドライイーストにもビタミンCが添加されていますが、これも酸化剤としての効果を発揮しています。

ビタミンCが無添加のイーストと作り比べると、生地感や食感の違いを体感できます。

(ちなみにビタミンCやビタミンEなどは「抗酸化作用」と言われていますが、これは体の組織から酸素を奪いとってくれることで得られる効果であり、言い方を変えるとビタミンそのものは酸化しやすいということです)

弱酸性のpH

生地は同じ配合であっても、pHによって締まり具合・緩み具合が大きく変わってきます。

最も製パンに適していると言われるのが「弱酸性」。

酵母菌が活発に働くから、という理由もありますが、それだけでなくグルテンが程よく引き締まり丈夫な生地となることも理由の一つです。

酸性に傾きすぎるとグルテンの柔軟性が損なわれ、薄く伸びずブチブチと切れるようになり、アルカリ性に傾きすぎるとグルテンの締まりが悪くなり、ダラダラとコシの抜けた生地になります。

程よい硬水

硬水を使って生地を作ると、グルテンが引き締まることが確認されています。

あまりに高い硬度だと締まりが強すぎてかえって膨らみにくくなりますが、本場フランスでは水道水の硬度が約300で、程よく生地が引き締まりよく膨らむエアリーなフランスパンが焼き上がります。

ただし日本の食パンのようにしっかり捏ねてふわふわにしたい場合は、むしろ余計な引き締まりの無い軟水を使う方が好ましいともされています。

(日本の水道水の硬度が約50なので、丁度いいです)

粉のエージング


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よく「新麦でパンを作ると生地がダレる、吸水能力が下がる」と言われています。

本来、普段市場に出回っている普通の小麦粉は「エージング」という期間を設けた後のものです。

エージングとは製粉後に一定期間寝かせることで粉の酸化を促すことです。

生地を作る前の段階で粉に酸素が付着することで、生地にした際のグルテン酸化度合いが変わるということです。

 

小麦粉には少量の脂肪分が含まれており、それがまず最初に酸素を引き付けます。その後、水と混ざりミキシングという力が加わることでグルテンに酸素がぶつかりグルテン酸化が起きます。

脱脂した小麦粉では良好なグルテン発達が見られなかった、という研究もあるようです。

 

2023/04/02

by BAKE FIRST(製パン科学研究家)