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こんにちは!製パン科学研究家のBAKE FIRSTです(・ω・)ノシ
「業務スーパーに売ってる激安強力粉って、ちゃんとパン作れるの?」
そんな疑問から中々手が出せない方も多いでしょう。
今回は業務スーパーの強力粉で美味しいパンは作れるのかどうか、実際の比較実験を元に解説します。
業務スーパーの強力粉で上手くできなかった経験のある人も、何が原因だったかを見極めるためにぜひご確認ください!
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業務スーパーの強力粉は膨らまない?膨らむ?
こちらが実際の実験動画です。
既にサムネイル画像を見た時点で業務スーパーの強力粉でもしっかり膨らんでいるのがわかりますね。
焼成後の膨らみ具合も、ちゃんと膨らんでいます。
結論から言うと、業務スーパーの強力粉でも十分に美味しいパンは作れます。
業務スーパー強力粉と普通の強力粉の違い
「普通の強力粉って何だよ」って思うかもしれませんが、ここでは日本製粉のイーグルを引き合いに出します。
というのも、この実験で使った業務スーパーの強力粉は同じ日本製粉が製造しているからです。
製粉会社が同じで、たんぱく量など成分表示も同じ、実際の作ってみた感じもほとんど差は無い。
(なんなら、ちょっとした誤差で業スー粉に軍配が上がってしまうくらいには差が無い)
もしかしたらこの二つの値段の差は企業努力によるもので、中身はそんなに大差ないのかもしれない、そのように感じました。
(絶対同じとは言い切れませんが、違うとも言い切れない)
高い粉と安い粉の違い
【意外な結果】一番安い小麦粉と高い小麦粉 その違いがこの動画で全てわかります - YouTube
イーグルと業務スーパー強力粉の比較では目立つ違いは見られなかったですが、一般的には高い粉と安い粉の間には「灰分」の差があることが多いです。
灰分とはミネラル分のことで、小麦粒の外側に近い部分ほど多くなります。
小麦粉というのはその用途別にいくつかの等級に作り分けられており、小麦粒の最も内側の部分しか使わない特等粉から、一等粉・二等粉・三等粉・末粉と徐々に外側まで含むようになります(外皮も胚芽も丸ごと含めて製粉されるのが全粒粉)。
主に製パン用強力粉として市場に出回っている多くは一等粉や二等粉レベルの粉で、特等粉はかなり値段が上がります。
産地も同じ北米産(又はカナダ産)でたんぱく量もそこまで大きく違わないのに値段が違う、そんな2種類の粉を販売している製粉会社も多いです。これらをよく見るとやはり安い方が灰分が高く、等級の差で作り分けられていることがわかります。
等級が低い粉は小麦の外側に近い部分をより多く含むため、
- 穀物のワイルドな香りがより強い
- 酵素活性が高く熟成が進みやすい
- たんぱく量の数値が高くてもグルテンはそこまで多くない場合がある
などの特徴があります。
逆に等級が高い粉は
- クリアで上品な香りの印象
- 酵素活性は低い
- たんぱく量の数値がそこまで高くないのにグルテンが多い場合がある
という傾向があります。
業務スーパーの強力粉が膨らまないのはなぜ?
上記の実験からわかる通り、業務スーパーの強力粉でもしっかり膨らむはずなんですが、ネット上には「膨らまない」という口コミなどが多々見られます。
ですがヤフー知恵袋などでそういった声を挙げている人の詳細な作り方を見てみると、問題は粉ではなく作り方にある場合が多い印象でした。
例えば、45℃以上の高すぎる温度の水にイーストを溶かしていたり…そもそも仕込み水の温度を正確に計っていなかったり…
パン作りのあらゆる失敗を詰め込んだ作り方を普段からしていると、毎回同じ作り方とレシピで作っているつもりでも、温度や計量のズレなどで実質全く違うことをやっていることになります。
たまたま粉を変えたタイミングで悪い要因が重なり上手く出来ず、その失敗を改善する方法を知らないから間違った対処法を重ねて更に失敗が悪化し…
結果として「粉を変えたからダメなんだ」に行きついてしまうのです。
レシピが悪い場合もあります。良質なレシピを紹介されて、それに変えた途端に「業務スーパーの粉でも上手くできました!」と一転しちゃうパターンもよくあります。
これは業スー粉に限らず、扱いの難しい国産小麦などあらゆる粉でも同じことが言えます。
結局、あらゆる粉に対応できるだけの正しい基礎知識があるか無いかの差ということです。
以下に初心者の方が見落としがちな、膨らまない(と思ってしまう)原因についてざっと解説します。
0.1g単位で計量していない
粉や水のように使用量の多い材料なら1g単位でも大丈夫です。
しかし使用量の少なく、発酵速度に強い影響を及ぼすイーストと塩は0.1g単位で計量することが重要です。
なぜなら、1g単位での計量だと画面に「1g」と表示されていても、それは1.9gかもしれないからです。
粉量100gで作る場合、イースト量が1.0gと1.9gでは発酵速度は単純に2倍近い差があります。
これだと、普段はイースト量がオーバーして作っていた人がたまたま粉を変えたタイミングで1.0gと正確に計量出来ちゃった場合、「膨らまない」と勘違いしても無理はありません。
0.1g単位で計量できるデジタルスケールを購入するか、最新の注意を払って1.0ピッタリになるようイメージで計量するようにしましょう。
水の量を減らしたり粉を加えたりしている
例え同じレシピを使っているつもりでも、「捏ね始めベタつくから」と言う理由で水を減らしたり途中で粉を加えたりするのはよくある失敗です。
水を減らして作る、なら途中で加水すればまだ良いですが、途中で粉を加えてどんどん硬い生地にしていくのは膨らみにくい生地まっしぐらです。
適量の粉を追加している、ということは、レシピ通りではなくなっているということ。その作り方を毎回やっているとしたら、毎回同じパンに仕上げるのは至難の業です。
まずは水を減らしたり粉を加えなくても済むような正しい捏ね方のコツを学ぶべきです。
こね不足・捏ね方が悪い
生地のこね具合が不足していると、ガス保持力の弱い生地になるため膨らみの悪いパンになります。
実は粉によって必要な捏ね時間は前後します。例えば薄力粉100%の生地は強力粉生地よりも圧倒的に短時間で生地が完成したり…
初心者の方は粉を変えた途端に上手く作れなくなることが多いですが、こうした理由もあるため捏ね時間をキッチリ守るよりも生地の状態で判断することが重要です。
また、そもそも捏ね方が悪いために何十分捏ねても良い生地にならないパターンもあります。
正しい捏ね方をマスターして、どんな銘柄の小麦粉でもしっかり膨らむ生地を作れるようになりましょう!(下リンクの記事参照)
生地の温度を気にしていない
使う水の温度をちゃんと計測したり、お部屋の温度を一定に保ったりするのはもちろん重要ですが、何よりも重要なのが「今、目の前にある生地が何度なのか」を意識すること。
発酵速度は水の温度でもなく室温でもなく、生地の温度に全て由来します。なぜなら酵母菌が住んでいるのはパン生地内部だからです。
水やお部屋の温度を調整するのは全て生地の温度をコントロールするための一つの手段でしかありません。
(極端な話、27℃の生地を冷凍庫に入れてもすぐに発酵は止まらず、生地が4℃を下回るまでは発酵し続けます。)
「事件(発酵)は会議室(部屋の空気)で起きてるんじゃない、現場(生地内)で起きてるんだ!」まさにコレなんです。
普段から生地の温度を気にかけたパン作りが出来ていないと、たまたま粉を変えたタイミングで生地の温度を低く作ってしまい「膨らまない」と勘違いすることも不思議ではありません。
発酵具合の見極めをしていない
一次発酵・ベンチタイム・二次発酵…
全ての発酵を「時間」でキッチリ守っていませんか?
もちろん、レシピの指定通りの生地温度で常に管理出来ているなら大幅に最適時間が狂うこともありません。
ですが、生地温度が1℃変わると20分差が生まれると言われるくらい、発酵速度は簡単に変わってしまいます。
大事なのは時間を守ることよりも「発酵具合」で判断すること。
フィンガーチェックや生地肌の質感など、見極め方の基準はたくさんあるのでそれらをマスターして発酵見極めが出来るようになりましょう。
生地の発酵具合の見極めは”3つの視点”で完璧! - YouTube
2023/04/06
by BAKE FIRST(製パン科学研究家)